食品添加物・遺伝子組換え食品は試験中ということです。
●食品添加物
食品添加物は、保存・殺菌、調味、着色、栄養強化などの広範な目的で使用されている。食品添加物として指定するさいには、急性毒性試験、慢性毒性試験、発がん性試験、催奇形性試験、繁殖試験、変異原性試験などの種々の毒性試験を課している。また、各々の食品添加物ごとに許容1日摂取量ADI、acceptable daily intake や耐容1日摂取量TDI、tolerable daily intake を決めるなど、いくつかの安全対策を講じている。
しかし、一方で安全試験に内在する問題点として、①実験動物で安全だからといってヒトでも安全とは限らない。②長期暴露の影響、特に次世代にわたる影響を評価できない。③添加物が複合した場合の影響を評価することが困難である。などの点が指摘されている。
●遺伝子組換え食品
遺伝子組換え操作には、除草剤耐性と害虫抵抗性の獲得を目的としたものがある。除草剤耐性や害虫抵抗性の獲得により、使用する薬剤コストの削減、生産性の向上、環境への負荷の軽減につながるとされている。また、寒冷や乾燥に強い植物などの開発は、世界の食料事情の改善に光明を与えると期待されている。
しかし、害虫抵抗性により農作物に産生される殺虫成分をヒトが長期大量に摂取することになるため、その安全性について問題視する向きもある。また、害虫抵抗性により昆虫やそれを捕食する鳥類などの生態系が変化することや、除草剤耐性が雑草にも転移することが確認されていることなどから、環境への悪影響も懸念されている。
(「シンプル衛生公衆衛生学」)
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