●足のむくみ
立ちっぱなしでいると、足がむくんでふくれることがあります。浮腫(ふしゅ)といいます。毛細血管から外に水が漏れて、細胞の間に水分が余分にたまっている状態です。
脚の毛細血管では、重力の影響が加わるので、静脈の血管も心臓に戻りにくいし、毛細血管から外に水が漏れやすくなっています。歩き回っていると、下肢の筋肉の働きで、静脈の血液が心臓に送られて、毛細血管の血圧も下がります。
デパートの店員などのように、立ちっぱなしであまり歩かない仕事をしていると、脚に浮腫が起こりやすくなります。最近では、脚を締めつけるストッキングが開発されて、下肢の浮腫を防ぐのに役立っています。
下肢だけでなく、全身に浮腫が起こることもあります。肝臓や腎臓の病気で、血液中のタンパク質が減ると、全身に浮腫が起こります。
血液中のタンパク質は、水分を血管の中に引き込む膠質浸透圧を発生します。タンパク質が不足すると、血管から外に水分が逃げやすくなるのです。そんな場合でも、浮腫は上半身よりも下半身によくできます。
下肢の前面を向こうずねといいます。皮膚のすぐ下に脛骨があって、ぶつけると痛い場所です。浮腫かどうか調べるには、向こうずねの皮膚を押してみます。指で皮膚を押すと、そこがへこんで、指を離してもへこみが消えないようだと、明らかな浮腫です。
(「よくわかる解剖学の基本としくみ」)
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