牛乳は子どものためにある
●ミルク
牛乳やヤギの乳は、元はその子供にある一定期間のみに与える食事です。人間はそれを横取りして自分たちの食事にしてしまいました。
しかし、ミルクを摂取するには、そこに含まれる乳糖を消化する「ラクテース」という酵素が必要になります。ヒトの赤ちゃんは、ラクテース遺伝子が作動して乳幼児の食事の大半を占めるミルクで生きられるようになっていますが、多くのヒトの集団では、その遺伝子のスイッチが乳児期を過ぎるとオフになるのです。
●ミルクに適応しきれない人類
このラクテース遺伝子が幼児期を過ぎてもスイッチがオンになっているのは、中東の集団とそれをヨーロッパに持ち込んだ子孫、つまりヨーロッパ人、そしてツチ族などの東アフリカの牧牛部族だけです。
これは、日常的にミルクを飲むことで、乳児期が過ぎるとスイッチがオフになるラクテース遺伝子が約8000年前に変異してきたことによります。その結果、ヨーロッパ人では約90%が変異したラクテース遺伝子を持っていますが、地球上の全人類の約60%は家畜のミルクを飲むと腸に異常(お腹が張る、ガスが出る、下痢をする)を起こす「乳糖不耐症」に見舞われます。約65%の人たちは、ラクテース遺伝子のスイッチが成人になった場合にオンにならないのです。
特にアジア系、アフリカ系の人種間では乳糖を消化する酵素を作り出すように遺伝子がまだ適応できていません。また、変異したラクテースを持ったヨーロッパ人にしても、成人期~老年期にかけて慢性病という問題を引き起こします。環境の変化に体が本当に適応したとは言い難いのです。
(「間違いだらけの食事健康法」)
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