●カリウムが不足していると心筋梗塞になりやすい
高血圧は、狭心症や心筋梗塞の発症に大きく関わっています。日本人の高血圧の治療には、カリウムの役割が欠かせません。体内にカリウムが不足すると、血圧が上がり、心筋梗塞や糖尿病がおこりやすくなることもわかっています。
カリウムは、カルシウムや鉄、マグネシウムやリンなどと同じミネラルの仲間です。ミネラルは、元素とか無機質ともよばれ、体内で合成することはできないので、食べ物からとりいれなければなりません。
心筋梗塞の発作がおきて心臓に流れる血液が不足したときに、心筋細胞の中にカリウムが足りなくなっていると、心筋が壊死しやすくなります。つまり、発作によってもたらされるイメージが、より大きくなってしまうのです。
●カリウムには血圧を下げるはたらきがある
日本人の高血圧の原因のひとつに、食塩(ナトリウム)の摂り過ぎがあげられます。カリウムには、余分なナトリウムを排出させるはたらきがあり、血圧を上げようとする物質に対する血管の反応を抑える効果もあります。日本人は一般に食塩の摂取量が多いので、血圧を下げるためには、食事の塩分を減らすだけでなく、カリウムをしっかり摂ることが大切なのです。より積極的にカリウムをとれば、高血圧や狭心症を予防し、改善することができます。
実際に、血圧が高い人に、食事にカリウムが多い食べ物をとり入れてもらうと、それだけで血圧が下がってきます。
またカリウムは、ナトリウムと協調して細胞膜の内側と外側の浸透圧を調整し、心臓や肺、筋肉の機能を整え、神経伝達にも関わっています。ナトリウムをとったらカリウムも充分に補給するよう心がけましょう。カリウムがしっかり摂れていれば、食塩の摂取量が少し増えても、相殺してナトリウムの作用を抑えてくれます。
カリウムは、体内にたまり過ぎるのはよくないのですが、腎臓の機能が正常であれば、余った分は尿の中に排出されます。摂り過ぎを心配することはありません。
(「狭心症・心筋梗塞の最新治療と発作を防ぐ安心読本」)
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