環境のリスクについて「シンプル衛生公衆衛生学」ではこう書かれています。
●環境リスクの考え方
ヒトの健康に悪影響をもたらさないレベルとして閾値(いきち)以下に基準が通常設置されてきた。しかしがんの発生は発がん性のある化学物質によってごく微量の暴露でも確率的に被害が発生するものと考えられ、発がん性には閾値がないか、もしくは閾値は不明であるとされる。
発がん性の認められた化学物質でも、日常生活や産業活動を行ううえで必要不可欠なものも含まれてるので、それらすべての物質の使用を禁止してリスクをゼロにすることは実際上不可能である。
リスクriskとは望ましくない事象が起こる確率を示す概念である。
リスクは「環境の大きさ」に「発生の不確かさ」をかけ合わせて評価する。
さらに現在全世界で登録されている約9,100万種類の化学物質がもたらす長期的複合的な健康と生態系への影響についても科学的に評価を行い対策に結びつけることが必要になってきた。そこで用いられる考え方が環境リスクという概念である。
例えば、いつ誰が交通事故死するか予測不可能であるが、日本の交通事故による死亡者数は6,414人[2012(平成24)年人口動態統計]であるというような数は年によって大きく変わることはない。
日本の人口は127百万人であるので、人口10万人当たりの年間死亡率は男が7.0、女が3.3となり、この死亡率で生涯すごしたと仮定すると生涯死亡確率(生涯死亡リスク)は男が0.52%、女が0.25%と推定できる。
このような不確実さを内在した事象であってもリスク研究を進め、得られた知見に基づいてリスクを評価し予防的見地からリスクの低減に向けた政策を決定し実施するリスク対策の手段がとられるようになってきた。
(引用終了)
世の中リスクと同時進行ということですね。
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