●ナトリウム過剰が病気を増やす
ナトリウムとカリウムは真逆の働きをします。両者が拮抗することでバランスが保たれているわけですが、現代人のようにナトリウムを過剰摂取する生活を続けているとその均衡は崩れてしまいます。
こうしたナトリウム/カリウムのアンバランスは、高血圧だけでなく、脳卒中、腎結石、骨粗しょう症、消化器系のガン、喘息、不眠、乗り物酔い、高山病、メニエール氏病などにも関係していることが報告されています。
ですから、私たちはまず「ナトリウム/カリウム」バランスを狩猟採集時代に戻すことを考えなくてはなりません。
食べ物から摂取し、消化・吸収、そして最終的に代謝した物質は、最終的に酸かアルカリとして血液を駆けめぐります。
最終的に酸性となる食品として、乳製品、穀物、塩(塩化ナトリウム)、肉類、魚介類、卵などがあります。一方、最終的にアルカリとなる食品として、新鮮な野菜、フルーツ、根菜類などがあります。
(中略)
●カルシウムバランスも崩れる
私たちの体は、このような低レベルの血液の酸化に対して、骨からアルカリ性のカルシウムイオンを動員することで中和しようとします。
そうやってバランスを摂っているわけですが、ここで失われるカルシウム分は食事中のカルシウムの吸収率を高めることで埋め合わせできません。そのため、カルシウム欠乏を引き起こすことになるのです。
また、低レベルの血液の酸化によって、筋肉からグルタミンあるいはその前駆物質のアミノ酸が失われます。グルタミンは、腎臓でアンモニアとして利用され、酸をアンモニアイオンとして尿から排出させるために利用されます。つまり、血液が極度の酸性に傾くのを防ぐため、グルタミン(アミノ酸)を筋肉から動員するのです。たとえ低レベルであっても血液の酸性化が常識化すると、骨粗しょう症やサーコペニアと呼ばれる筋肉減少症の原因になります。
なお、日本の水道水は世界でも有数の高濃度塩化物が含まれています。なかでも都会の水道水は塩素濃度が高く、そのカルキ臭に辟易している人も多いと思いますが、じつはこれもナトリウム過剰の原因の一つになっています。つまり、水道水を飲むだけでも血液は酸性に変わりやすくなるのです。
狩猟採集時代には肉・魚介類、野菜、フルーツが主体だったので、全体ではアルカリ性だったことが分かっています。ナトリウムの摂りすぎによるミネラルバランスの崩れもなかったでしょう。
(間違いだらけの食事健康法)
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