高齢化社会になりました。
末期がんや寝たきりの状態で、病人に異変が起こると救急車を呼びますよね?その病院では。。。。
●治療をするのは大半が研修医
途中で亡くなることもなく、幸いにして受け入れてくれる病院が見つかり、病院に到着したとします。
病院では、救急患者は当番医が診ることになります。昼間なら、以前から治療を受けていた主治医や診療科の医師に対応してもらえるかもしれません。
しかし、病状や体調が急変するのは、大半が夜間です。大学病院や総合病院の当番医はほとんどが、臨床経験が浅い研修医です。救急の現場は、若い医師が治療の経験を積むための場でもあるのです。
●集中治療室でおこなわれること
呼吸が切迫し、血圧が低下し、意識が消失した状態で入院すると、患者さんはすぐに集中治療室に運ばれます。
そこでは、どのような処置を施されるのでしょうか。
一目で末期がん、あるいは老衰とわかっても、居合わせた医師はやることはやらねばなりません。それは、救急において、医師がしなければならないことなのです。
家族や看護者は席を外すようにいわれ、あっという間に最低限の心肺蘇生処置が施されてしまいます。
そして、酸素投与、昇圧剤の投与がおこなわれ、心電図、血圧がモニターされ、検査がスタートします。
その間に、やっと家族や介護者が呼ばれて、「どうしたんですか?」「何があったんですか?」と、医師に事情を聴かれます。
血液検査、エコー、レントゲン検査、CTスキャン、MRI検査……。
どれも衰弱した病人の体には物凄い負担です。
●人工呼吸器や点滴をつけられ、溺死状態
この悲惨な状態のまま、入院生活の始まりです。
人工呼吸、点滴の継続によって、浮腫、腹水、胸水、痰が生じ、それらに苦しめられます。そして、それらの治療のために、利尿剤や吸引、昇圧剤の投与などがおこなわれます。
いわゆる、スパゲッティ症候群です。
人工呼吸器は一度装着したら絶対に外せません。
何日もこういう状態で延命治療が続けられ、やっと呼吸停止が来ます。
ある病院に講演に行ったとき、こういう話をしたところ、聴講者の一人である年輩の医師が、「そうなんだよ、先生。溺れ死にだね。まるで土左衛門だ」と、感想を漏らしていました。
もはや余命いくばくもない重病人に、濃厚な栄養の点滴が必要でしょうか。それを取り入れても、代謝する力は体に残っていません。水ぶくれになるだけで、腹水や胸水を促進し、患者を苦しめます。
終末期の患者に、このような濃厚な延命治療が必要でしょうか。
(「幸せな最期」)
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