●鉄不足、糖質のとりすぎでも頭痛は起こる
鎮痛剤が常備薬のようになっている人はいないだろうか。
「年中、頭がずきずき痛んで薬が手放せない」
頭のこめかみから目のあたりにかけて痛くなり、ときには吐き気をもよおしたりするタイプの頭痛は、男性よりも女性に多く見られる症状だ。”頭痛持ち”の人は、痛みが出たら薬を飲む、ということの繰り返しになりがちだが、これには栄養が関係している可能性が見逃せない。
その栄養とは鉄。鉄が不足していることで頑固な頭痛が起きていることが少なくないのである。生理がある女性はただでさえ鉄不足になっているケースが多いのだが、それが頭痛の引き金になっているとも考えられる。実際、鉄不足を解消したら、頭痛が改善された、ということも珍しくない。
こんな人もいる。夕方や夜間に頭が痛くなるというタイプだ。これには血糖値が関係していることが多い。血糖値は食事をするとゆっくりと上がって、その後、ゆるやかに下がるというのが正常な変化だが、なかには食後に急激に上がって、そこからまた急激に下がる人がいる。これが「低血糖症」だ。
低血糖症のなかには、通常の食事や甘い物を食べた後に血糖値の急激な上昇、下降が起きると、下がりすぎた血糖値を上げるために、たくさんのホルモンが分泌され、その影響(アドレナリン、ノルアドレナリンなど興奮系の神経伝達物質の大量分泌)で頭が痛くなるタイプがある。
栄養的なアプローチ、すなわち「糖質制限」をすることによって、頭痛がなくなったというケースが多いことからも、これも栄養と関係した症状といえる。
CTやMRIなどで検査しても脳には異常がないにもかかわらず、激しい頭痛が続くことが多くなっている。近年になり、頭痛外来という頭痛専門の診療を掲げている医療機関が出てきて、どこも患者があふれている。頭痛外来では、従来の鎮痛剤による治療だけではなく、てんかんや精神疾患などで使うような抗けいれん剤や抗不安剤などのタイプの薬が処方さえている。頭痛を外来を標榜する医師にも、鉄欠乏や低血糖症によって頭痛が起こることが理解されると、多くの患者さんが救われるだろう。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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