ヨーグルト神話

●「ヨーグルト神話」に疑問を感じるこれだけの理由」


最近「カスピ海ヨーグルト」や「アロエヨーグルト」など、各種のヨーグルトが健康効果をうたってブームになっています。しかし、ヨーグルトを毎日食べると腸によいというのは「ウソ」だと、私は考えています。


ヨーグルトを食べつづけている人に話を聞くと、「胃腸の調子がよくなった」「便秘が治った」「ウエストがスッキリした」というようなことをいいます。そして、こうした効果があるのは、すべてヨーグルトに含まれている「乳酸菌」のおかげだと信じているのです。


ところが、この「乳酸菌のおかげ」というのが、そもそも怪しいのです。人間の腸にはもともと乳酸菌がいます。こうしたもともといる菌を「常在菌」といいます。人間の体は、外から入ってくる菌やウイルスに対するセキュリティシステムができあがっているので、たとえそれが体によい乳酸菌であったとしても、常在菌でないものは、このセキュリティシステムに引っかかり殺菌されてしまうようになっているからです。


まず最初に働くのが「胃酸」です。ヨーグルトの乳酸菌は。胃に入った時点でほとんどが胃酸によって殺されます。そのため、最近では特別な工夫を施して「腸まで届く乳酸菌」を売りにしたヨーグルトも登場しています。しかし、腸まで届いたとしても、はたして常在菌と手を取り合って働くことが本当に可能なのでしょうか。たしかにシャーレの中では生きたまま腸に届くことが確認されているようですが、実際の胃腸の中は実験室とは違います。


私がこうした「ヨーグルト神話」に疑問を感じるのは、臨床現場では、ヨーグルトを常食している人の腸相がけっしてよいものではないからです。ですから私は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が生きたまま腸に届いたとしても、そこで腸内バランスをよくする働きがなされることはないと考えています。


では、なぜヨーグルトに「効果」を感じる人が多いのでしょうか。その理由の一つに「乳糖」を分解する※エンザイムの不足が考えられます。乳糖というのは乳製品に含まれる糖分のことですが、これを分解するエンザイム「ラクターゼ」は、年齢を経るごとに減少していきます。でも、これはある意味で当たり前のことです。なぜなら「乳」というのは、赤ん坊が飲むものであって、大人が飲むべきものではないからです。つまり、本来ラクターゼは大人には必要ないエンザイムなのです。


乳糖はヨーグルトの中にもたくさん含まれています。そのため、ヨーグルトを食べると、エンザイム不足から乳糖をきちんと消化しきれず、その結果として消化不良を起こします。つまり、ヨーグルトを食べると、軽い下痢を起こす人が多いということです。この軽い下痢によってそれまで腸内に停滞していた便が排出されたのを「乳酸菌のおかげで便秘が治った」と勘違いしてしまっているというわけです。


ヨーグルトを常食していると、腸相は悪くなっていきます。これは三十万例の臨床結果から自信をもっていえます。もしあなたがヨーグルトを常食しているなら、便やガスのにおいが強くなっているはずです。これは腸内環境が悪くなってきている証拠だと思ってください。くさいのは、毒素が腸内で発生しているからです。

(「病気にならない生き方」)


※エンザイム=酵素




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