スポーツ性貧血。
●最近疲れやすい
貧血を疑いましょう。いままで快調だった選手が急に疲れやすくなり、いつものように走れなくなったので、調べてみたら、貧血だったということはよくある話です。このような、スポーツが原因で起こる貧血をスポーツ性貧血または運動貧血といって、大部分が鉄欠乏性貧血です。
原因は大きく分けて二つあげられます。
一つは大量の発汗による鉄分喪失です。特に夏場の大量の発汗では、塩分と同時に鉄分も流れ出てしまい、体内の鉄貯蔵庫である血清鉄や臓器貯蔵鉄まで欠乏してしまいます。食物による鉄分の補給が追いつかないと徐々に貧血が進行して発症します。
もう一つの原因としては、足底にかかる衝撃で赤血球が壊れ、赤血球中の鉄分が流出するということがあります。この現象は硬い床の上を素足で飛び跳ねる剣道で頻繁に見られるもので、一時的に尿が赤くなることがあります。シューズをはくランニングでは比較的少ないですが、長時間走などでは起こることがあります。
この種の貧血の治療には鉄分の補給が最も効果的です。症状が出たときには鉄分は著しく不足しているので、食事から補給するだけでは間に合いません。検査を受けた病院で鉄剤を処方してもらうのが確実です。ビタミンCは鉄の吸収を促すので、鉄剤と合わせてビタミンCを処方する場合もあります。
貧血の検査は一般的にヘモグロビン量を測定しますが、潜在性鉄欠乏状態を診断するためには血清フェリチン量を測定する必要があります。
鉄剤を飲み始めてから効果が出るまでには少なくとも1ヶ月はかかります。普通は一日1回、就寝前の服用で、かなり気長に飲み続ける必要があります。鉄剤を飲むと便が黒くなることがありますが、これは吸収できなかった鉄分が便とともに排出されたための現象で、心配ありません。鉄剤の副作用としては、吐き気、腹痛、下痢、便秘、じんま疹などがあるので、そのような症状が出たときは医師と相談してください。
(「ランニング障害解決事典」)
薬は応急処置で、食事(動物性食品)で鉄を補うようにしましょう。
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