ヒトの体重の中心を重心と呼び、骨盤の中の仙骨やや前方にある。
●股関節と重心の関係
重心という言葉を聞いたことはありますか。ヒトの重心は「頭部、体幹、四肢(しし)の各部分の質量の中心を求め、合一して得られたもの」と定義されます。わかりにくいので、ここでは体重の中心と考えてください。ヒトの重心は骨盤内の仙骨(第2仙椎)のやや前方にあります。床(足底)から計測すると、成人男性では身長の56%、成人女性では55%の高さにあります。女性の重心が男性に比べて低いのは骨盤の形状の違いによるもので、男性の骨盤は細くて深く、女性の骨盤は広くて浅い形状になっているからです。もちろん、個人差もありますし、成長過程の子供は重心が高くなります。
(中略)
たとえば何らかの原因で重心が右に偏っていたとします。そうすると立位では右股関節に通常より負担がかかります。またその状態で歩行すると、右股関節周囲の筋肉が過剰に働いて痛みが出現するかもしれません。このような方を治療するなら、右股関節の痛みに対してアプローチするのと同時に、なぜ重心が右に偏っているのかを考える必要があります。なぜなら右股関節の痛みは悪い姿勢や歩行により出現したもので、重心が右に偏っていることを改善しないと根本的な解決にはならないからです。
(「よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ」)
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