●腰のケア
腰の問題が対処しにくい理由は、腰痛の原因が数多く存在し、真の原因を特定するのが難しいから、ともいえます。腰は体の中心に位置しているために、多くの部位からの影響を受けます。腰部の上にある胸椎や下にある股関節の可動性が制限されると、腰が過度に動かなくてはならないために、オーバーワークになり腰痛を引き起こすことがあります。また、腹部の圧力(腹圧)が適切にかからず、腰椎周囲の安全性が低下していることも考えられます。そのため、腰痛に対処するためには、ストレッチによって、腰部の柔軟性を上げると共に、適切に腹圧を上げる方法を身につけることも必要になってくることもあります。まずはストレッチによって、胸椎、股関節周囲の柔軟性を上げて、腰部の負担を取り除くことが大切です。
腰部の伸展時痛に関係している筋肉には、骨盤の前方に位置する腸腰筋、大腿四頭筋、大腿筋膜腸筋などの股関節筋群があります。これらの筋が硬いと、骨盤を前傾させてしまい、この状態では体を直立させることができないため、腰部を反って立位を保持しようとします。長時間立っていると、腰が痛くなってくるのは、股関節筋群が硬いため腰部が過伸展したことが原因とも考えられます。そのため、これらの筋のストレッチによって伸ばしてあげることが、腰椎伸展時痛への対処法になります。
腰椎を屈曲させたときに発生する腰痛には、腰を丸めた座位などで、長時間、腰部を屈曲させた姿勢を続けたために、腰部の適切な前弯を保持できなくなったことが考えられます。この腰痛に対しては、座っているときに腰の後ろに小さなクッションを置いたりして、腰部の湾曲を保つことが大切です。臀筋やハムストリングが硬いと、骨盤を後傾させ、腰椎の前弯を浅くする可能性があるので、ストレッチで適切な柔軟性を保持する必要があります。
(「クリニカルストレッチ」)
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