「間違いだらけの食事健康法」より抜粋。
●「狩猟採集時代の食事」を現代人の食事に当てはめると
230万年前から農耕・家畜革命が始まった1万年前までの食事内容をふまえながら、現代人にとってどんな内容の食事が理想的と言えるのか?この点について考えていきましょう。
狩猟採集時代の食事を現代食に当てはめた場合、次の6点が基本になります。
1.赤肉(脂肪分の少ない)、魚介類を中心としたタンパク質を摂取
2.デンプン質でない野菜と果物を摂取
3.穀物を控える
4.豆類を控える
5.乳製品を控える
6.加工食品を控える
後述していきますが、私が提唱する日本人向けの食事法(狩猟採集型ダイエット)は、これらの項目に「発酵食を取り入れる」ことを加えた7項目を基本にしています。現代食(西洋食)と対比しながら、ここに挙げた1~6の項目について詳しく検討していくことにしましょう。
まず、1のタンパク質の摂取についてですが、現代社会の典型的な食事ではタンパク質を全摂取カロリーの15%しか摂取していません。狩猟採集時代の人類の食事に近づけるには、タンパク質の摂取量をできれば2倍の約30%に増やすべきでしょう。
なぜタンパク質を増やす必要があるのでしょうか?それは、進化の過程で狩猟採集時代に私たちの遺伝子が肉を食べることに適応してきたからです。
たとえば、植物に含まれる脂肪酸は炭素(C)が18個です。脂肪酸は、私たちの細胞膜に必要不可欠な成分ですが、炭素数は20と22個です。
つまり、植物から摂取した炭素18個の脂肪酸を体内の酵素で炭素数20と22個に変換しなければならないわけですが、私たち人間は、ネコ科の動物同様、この酵素がほとんど働きません。これに対し、肉類に含まれる脂肪酸は炭素数20と22個です。したがって、私たち人間が細胞膜という重要な組織を維持するためには、肉を食べる必要がどうしてもあるのです。
また、タウリンという生理学的に重要な働きをするアミノ酸があります。
タウリンは胆汁酸を安定化する重要な働きをする物質です。タウリンの前駆物質は植物にあるのですが、この前駆物質からタウリンを生成する酵素がほとんどありません。肉類にタウリンが豊富に含まれていたため、この酵素を進化の過程で捨ててしまったのです。こう考えれば、ドリンク栄養剤にタウリンが配合されている理由も分かるでしょう。
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