踵から着くように歩くべきか?
●踵から着くだけが重要ではない
リハビリで歩行の指導を受けると、「踵から着きなさい」と言われることがあります。踵から着くように歩くと、どのような効果があるのでしょうか。
歩き方には人それぞれ特徴がありますが、特徴の一つに歩くときの音があります。たとえば廊下を歩くときにバタバタと音を立てて歩いている方は、足底で床を叩いているのと同じで強い衝撃を受けています。股関節を傷つけようと思って歩いている方はいないと思いますが、結果的には自分の歩き方が股関節を傷つけている可能性があります。そして、そのような歩き方をしている方の多くは、足関節の使い方が上手ではありません。
歩行では、踵が地面に着く踵接地のときの股関節に強い衝撃を受けます。できるだけ衝撃を受けない方が股関節への負担が少ないことは理解できると思います。ですから踵接地のときに、体重のかけ方を工夫する必要があります。ただし単に踵から着けばよいと勘違いしている方もいます。踵から接地した後、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)が遠心性収縮して、ゆっくりと足底全体で接地していくことで衝撃を吸収します。それに呼応するように大腿四頭筋が収縮し、膝に負担がかからないようにしていきます。
踵接地から足底接地、立脚中期へ移行する中で、足関節、膝関節、股関節へと荷重の負担がスムーズに移動することが必要なのです。それをわかりやすく伝えるため、「踵から着きましょう」と言っているのです。踵から着くことよりも、踵を着いた後の流れの方が大事ですよ。
(「よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ」)
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