マラソンを走っていて、後半脚が動かなくなってきますよね?あれはエネルギー切れではないので、甘いものをいくら摂っても解消しませんw
●エネルギー切れじゃないぞっ!?
まったく練習もせずにフルマラソンにチャレンジして、ほとんど全員、脚が石になってしまいましたが、原因はなんでしょう?原因さえわかれば対策も立てられるはずです。それについて考えてみます。
まずよく言われるのは、エネルギー切れです。マラソンだと筋肉に蓄えられているグリコーゲンが枯渇して脚が動かなくなるというもの。そのためカーボローディングを行ったりするのですが、練習不足のランナーの脚が動かなくなる原因は、エネルギー切れではないと私は考えます。その理由は……
1.筋肉のグリコーゲンは血中に出てこないので、筋肉グリコーゲン量は血糖値からわかりませんが、実験中のスピード程度であれば、食料を補給することで血糖値が上昇するので筋肉にも補充されていたと考えられます。筋グリコーゲンが枯渇してくると、血糖値は肝臓より筋肉に優先的に蓄えられることからもそれが推定できます。実験中は、血糖値は正常範囲(70~120mg/dl)を下まわることはありませんでした。私の場合は走行7kmおきに、ゼリー180kcalを1個補給しました。20km過ぎで空腹感を感じたので2個補給すると、次の補給ポイントで血糖は約120mg/dl、試しに1個だと約80mg/dlという値でした。1個のゼリー補給だと血糖値は約80mg/dlで変わらないので、消化吸収されていない可能性もありますが、2個補給して血糖値が上がるということは、走行中も消化吸収されているはずです。そして消化吸収されているなら、ゼリー1個で血糖値が上がらないということは、ゼリー1個分消費されていると考えられます。
私の場合は、体重70kgとして7km走るのに7×70=490Kcalのエネルギーが必要です。乳酸が溜まり始めるポイント(LT)以下では、脂肪と炭水化物(糖)が半々でエネルギーとして使われるので、半分の245Kcalぶんの糖が消費されています。ゼリー1個180Kcalでは、ちょっと足りないが、備蓄分を使って血糖は低値を維持、ゼリー2個だと消費量を上まわるので高値維持(余りはおそらく筋肉に吸収)ということでしょう。
乳酸値も測りましたが、最大で3.1mmol/L程度で、まだまだ筋肉が固まるには低い濃度だし(注:乳酸で筋肉が固まるわけではありませんが乳酸の溜まるような運動強度だと固まるという意味です)、運動強度もLT以下であったということを意味しています。
2.負荷を上げて走った場合、筋肉内グリコーゲンが充分残っている短い距離でも脚が固まってくることがあります。そして脚が固まって、そのまま続行するとしだいに筋肉痛が現われ、痛みに耐えかねてリタイヤとなります。
3.筋肉内のグリコーゲンが多いほど、運動継続時間は長いという研究結果がありますが、この場合の継続時間は”へばるまで”ということで”筋肉痛”ではないようです。
以上により、筋肉痛で脚が動かなくなるのは、エネルギー切れではなかったと考えられます。したがってこの対策としては、いくらカーボローディングしても無駄だと言えます。
また心肺機能にも余裕があるから、酸欠でもない。ということは、心肺機能をいくら鍛えても完走するための手段に成り得ません。
(「ランニングの科学」)
コメントをお書きください