●筋肉痛(遅発性筋肉痛)
筋は、連続して力を発揮し続けていると徐々に出力が低下する。これを「筋疲労」と呼ぶが、運動中や直後でなく、翌日をピークに出現する筋疲労は「遅発性筋肉痛(Delayed Onset of Muscle Soreness:DOMS)」といわれるが詳細はわかっていない。筋は、「エキセントリックな収縮」を行うと、損傷を受け、その修復のため、炎症が生じて痛むという説が有力である。遅発性筋肉痛は、24~48時間後にピークになり、数日間続くこともある。
「コンセントリックな運動」に比べ、筋が引き伸ばされながら力を発揮するエキセントリックな運動のほうが筋はダメージを受けやすく、筋繊維だけでなく、筋内膜・筋外膜といった結合組織も損傷するので、それらの組織を修復する過程で痛むとされる。
具体的にはスクワットでしゃがむときのハムストリング、ベンチプレスでバーを胸におろすときの大胸筋、坂道や階段を下るときの大腿四頭筋など、筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する状況で遅発性筋肉痛が起こりやすい。
筋損傷の程度と、遅発性筋肉痛の痛みの程度の間には相関がなく、筋肉痛を目安にトレーニングの効果を判断することは、間違いである可能性が強い。
対処法としては、運動と運動の間隔が比較的に短いと、筋肉痛は起きにくく、運動間隔を4週間くらいまで長くすると、また筋肉痛が出るといわれるので、重要な大会などの1週間前に同じ運動を行うとよいといわれる。
また、準備運動で、ストレッチングを行ったり、軽い強度でエキセントリックな負荷をかけたり前日に筋温を上げておくと、筋肉痛を予防する効果があるといわれる。
運動後に静的ストレッチングを行うと遅発性筋肉痛が軽いことが経験的に知られている。
一方、遅発性筋肉痛が生じた後に、ストレッチングを行っても、軽減する効果はないようである。
トレーニングを積んだ人では、筋損傷が起こりにくく、筋肉の代謝も早いので、損傷による筋肉痛が治まりやすいとも考えられている。
(「スポーツトレーニングの基礎理論」)
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