●合成原料か天然原料か
サプリメントの原料には「化学的に作られた合成原料」と「野菜、果物などから抽出された天然由来の原料」があります。
合成原料は安価で高濃度というメリットがありますが、不純物混入のリスクもあります。天然原料は、吸収率や体内での働きの面で合成品より優れ、何より「食べ物に近い」というメリットがありますが、価格が高く、濃度が低いというデメリットもあります。
一概に、天然由来の原料がよくて、合成原料はよくないと申し上げるつもりはありませんが、私は「安価な合成品のサプリメント」は避けた方が無難だと考えています。
安い合成品の何が問題か、ビタミンCを例にとってご説明しましょう。
今、サプリメント原料の多くが中国製です。ビタミンCも95%が中国製です。かつては日本製もあったのですが、今は作られていません。
中国製のビタミンCだから信頼できないというわけでは決してありません。中国にもしっかりした設備と管理体制でビタミンCを製造する工場はあり、医薬品のビタミン剤の原料などとして使われています。
ただし、一方では品質レベルの低い工場で製造されたであろうビタミンCも存在します。もちろん、信頼できるサプライヤーのビタミンCの原料でも、kgあたり数百円で手に入るものから、30万円するものまであるのです。
そうした状況を知ってしまうと、安い価格のビタミンCのサプリメントは、怖くてとても手が出せません。
ビタミンを人工的に化学合成する場合、目的の栄養素だけでなく、「よく似た物質」も一緒にできてしまいます。化学構造が一見同じようだけれど、微妙に細かい部分が違っていたり、ねじれていたりといったことです。
「光学異性体」といって、すべての構造がそっくり反転している分子(鏡に映した状態)ができてしまうこともあります。これらはいってみれば「なんちゃってビタミン」、あるいは「ビタミンのそっくりさん」。いわゆる「不純物」です。
生物がビタミンを作るときは、酵素の働きによって精密に目的のビタミンを作るのですが、工業的に大量に作る場合はそうはいきません。
そうすると「本物のビタミン」と「そっくりさんたち」の混合体ができる。そこから精製して不純物(そっくりさん)を取り除いて目的のビタミンだけを取り分ける作業をするのですが、これには費用も手間もかかります。精製をしっかり行うことで純度の高いものができ上がりますが、これを何回行うか、どこまで行うかは、作る側の裁量次第です。
そして激安サプリメントには、精製の度合いが低い原料が使われているかもしれません。
そういうサプリメントを作るメーカーは「この一粒の中にビタミン○○が200mg入っていますよ(そっくりさんも入っていますが……)」という思考でものを作り、売っているのだと思います。
(「サプメントの正体」)
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