●ケトン体回路は、動き始めるまでに4~5時間かかる
ケトン体回路は、血液中のブドウ糖や、肝臓にため込まれているグリコーゲンを使い果たしていなければ、スイッチが入りません。
逆をいえば、空腹感を覚えたときに、炭水化物をとらずに2~3時間待っていれば、肝臓で糖新生が行われ、自分自身がブドウ糖をつくります。さらに、脂肪酸からケトン体がつくられるので、脳には十分にエネルギー源が送られ、その後はずっと動き続けます。
ところが、血液中のブドウ糖が減ってきて、おなかが減ったと感じたり、イライラしたとき、炭水化物をポンと入れてしまうと、そちらを使ってしまうので、ケトン体回路はシャットダウンされてしまうわけです。
血糖値が下がっても1時間とか90分程度は持っていられるのですが、それを過ぎるとインスリンが反応してきて、イライラして待てなくなってしまうのです。本来はそのまま待っていればいいのですが、現代人のほとんどは、砂糖中毒に陥っているので待てません。即効性のある炭水化物や砂糖食品に走るわけです。
ただし、中毒は意志の力でスイッチが入りやすくなり、ケトン体の合成を促すことは可能です。
積極的にケトン体を合成するための食事は「ケトン食」と呼ばれています。脂肪酸を多く含むたんぱく質は、ケトン体合成を促すので高ケトン物質であり、糖質はブドウ糖の回路に促すので反ケトン物質です。
要するに糖質を食べると、ケトン体回路は止まってしまうということです。もちろん、肝臓で行われている糖新生の回路も、糖質をとった時点で止まってしまいます。
おそらく、ケトン体回路が動いているときには、ブドウ糖回路はシャットダウンされ、片方が動くと片方がシャットダウンしていると考えられます。
生物学的に考えても両方が動くことは無駄ですから、グリコーゲンが枯渇したあとでケトン体回路が動くようになっているのでしょう。
●”4~5時間”が待てない砂糖中毒の現代人
ケトン体回路を動かすためには炭水化物が4~5時間以上からだに入らないことが重要です。
体内に炭水化物が入ると糖新生はもちろん、ケトン体回路もブロックされてしまいます。ですから、ケトン体回路を動かすためには、一定時間炭水化物がほとんど含まれず、たんぱく質や脂質が多いものを食べておけばいいのです。そうすれば、4~5時間たてばケトン体回路が動き始めます。
ところが、実際には、ケトン体回路を動かし始める前に、炭水化物を入れてしまう人がほとんどです。
炭水化物が入ると、分解されたブドウ糖はすぐに血液に入り、脳に送られてケトン体回路をブロックしてしまいます。白砂糖などに含まれるブドウ糖は、そのスピードが非常に速く、血液中に入れば1分以内に脳に送られてしまいます。
この即効性も、砂糖を麻薬と呼ぶ要因のひとつです。
(「砂糖」をやめれば10歳若返る!)
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