膝関節の痛みが体の他の部位に影響を及ぼすのはなぜでしょうか?
●腰痛⇔膝関節痛
膝関節痛をもつ方の中には、腰痛をもつ方も少なくないと思います。膝関節と腰は、互いに場所が離れているため、一見無関係と思われがちです。しかし、からだは一つながりですから、どこかに起きた問題は、必ずほかの部分に影響します。
歩行時は通常、腰がわずかに回旋します。ところが、腰痛の方は、腰を動かすと痛みが増強するため、腰を固定して歩行します。そのため、腰の回旋を代償する股関節や膝関節に負担が生じ、それが蓄積して痛みが発生するのです。
一方、膝関節が痛いときも、腰を固定して歩行します。どのように歩行するかというと、膝関節が痛いときや、膝関節が常に屈曲位の状態のときは、股関節も屈曲位となります。股関節が屈曲位になると、体幹が前に倒れます。体幹が前に倒れたままでは、地面を見たまま歩行することになるので、視野を確保するために体幹を起こします。このとき、股関節ではなく、腰を反らして体幹を起こすため、腰椎および腰の筋肉に負担がかかります。
このような状態が続くと、腰の筋肉が常に収縮した状態となり、その状態が続くと、腰の筋肉が肩こりのように固くなり、腰痛が発生します。
人間のからだは運動連鎖によって成り立っています。膝関節には、足関節、股関節、体幹が連動して、相互に作用しながら動きます。膝関節が痛いからといって、膝関節だけのケアをするのではなく、股関節や足関節、体幹のケアもあわせて行う必要があります。
(「よくわかる膝関節の動きとしくみ」)
コメントをお書きください