●鉄の過剰摂取は活性酸素の発生源
貧血予防に欠かせない鉄も不足しやすく、積極的に摂りたい成分です。特に女性は生理がありますから、鉄をしっかり摂る必要があります。
思春期の女の子の場合、生理がはじまると鉄の消耗がどんどん増えます。そうでなくとも体が大きく成長する時期ですから、体に必要な鉄の量が増えていきます。さらに、激しく体を動かす運動部に所属している子は、特に鉄不足になりやすいのです。
運動するとき、たとえば長距離を走る場合には、足の裏の血管を通る際に赤血球がダメージを受けやすいため、鉄の消耗が激しくなってしまうからです。だからスポーツをしている女の子は、十分に鉄分を摂ってほしいと思います。
鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料になり、全身に酸素を運ぶ働きをしているほかにも、多様な働きをしています。
もっとも大切なのは、細胞中のミトコンドリアでエネルギーを作り出すことです。十分な鉄がなければ、せっかくの食べ物をエネルギーに変換することができません。すると寝起きが悪かったり、頭痛、肩こり、冷え、気分が落ち込む、イライラする……など、さまざまな困った症状が出てきます。
さらに鉄が足りないと、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、セロトニンなど)を作ることができません。神経伝達物質が不足していると物覚えが悪くなったり、気持ちが落ち込んだりします。脳がきちんと働くためにも、鉄は不可欠なのです。
他にも、鉄は活性酸素の消去を担当している抗酸化酵素の構成要素にもなっています。鉄の不足は体の抗酸化力の低下を招き、老化を促進してしまいます。ただし、鉄は諸刃の剣であり、過剰に摂取すると活性酸素の発生源になってしまいますので、「適量」の摂取を心がける必要があります。
(「サプリメントの正体」)
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