●ステロイド剤と非ステロイド剤の違い
炎症を抑える鎮痛剤や解熱剤には、大別して2つの種類がある。それがステロイド系と非ステロイド系で、医師は病気や症状に応じて使い分けている。
頭が痛い、熱がある、というときに一般的に使われる頭痛薬や熱冷ましは、後者の非ステロイド系の抗炎症薬。ステロイド系が使われるのはぜんそくが激しいときやリウマチの痛みがひどいケース、アトピーなどの皮膚疾患に使われることもある。
同じ抗炎症薬といっても、この両者では働きがまったく異なっている。それぞれについて説明しよう。
アラキドン酸からつくられるプロスタグランジン2系が炎症を促進することはお話しした。非ステロイド系の抗炎症薬は、そのアラキドン酸からプロスタグランジン2系がつくられる反応をブロックする。
その作用によって、どんどん炎症を進めるプロスタグランジン2系ができないため、炎症が鎮まるのだ。
一方のステロイド系は、反応の源流、おおもとの部分をブロックする。文字通り、”もとを断つ”ことになるので効き方は非ステロイド系をはるかにしのぐ。とにかくよく効くのである。
ただし、炎症に対してよい反応も起きなくなってしまう。炎症を抑える働きをするプロスタグランジン1系、3系などがつくられないのだ。通常、起こるべき反応が、いってみれば”力づく”で抑え込まれてしまうため、副作用も強くあらわれることになる。
切れ味は極めて鋭いけれど、切れすぎて扱いが少々やっかい。ステロイド系の抗炎症薬はそんなふうに捉えておくといいかもしれない。
●ステロイド剤をとるほどステロイドが減ってしまう
効き目という点ではすぐれたステロイド剤だが、それを使うことによって起こる問題はもうひとつある。ステロイドホルモンは、元来、私たちの体でつくられている。必要なときには十分つくり、あまり必要でないときは生産を自粛する。ホルモンの生産にはそんな調節機能が働いている。
ところが、ステロイド剤によって外部からステロイドホルモンを取り込むと、ネガティブフィードバックといって、この調節機能が壊されてしまうのだ。体内ではつくっていないのに、ステロイドホルモンがたくさんある、ということで、「なんだ、たっぷりあるじゃないか。だったらもうつくらなくていいな」ということになってしまうのである。
ステロイドホルモンは副腎皮質でつくられるわけだが、つくるように指令を出すのは脳の下垂体という部分。その下垂体が副腎皮質に”生産ストップ”の指令を出すというのが、そのメカニズムだ。
このように、本当なら、病気を治すために体内でつくられなければならない、ステロイドホルモンの生産量が減ってしまうのが、ステロイド剤を使う際の大きな問題点になっているのである。
では、どうすればいいのか。原点に戻ることだ。ステロイド剤が必要な人は、体のなかでステロイドホルモンがつくりやすい環境をつくる。つまり、ステロイドホルモンの材料を十分に供給することである。
ステロイドホルモンをつくるには原材料になるコレステロールが不可欠。そのコレステロールが体内で十分にできるような栄養的な配慮が必要だ。併せて、副腎皮質の機能を活性化させる。副腎という臓器は大量のビタミンCを必要とする。そのビタミンC、さらにビタミンB群など、副腎の機能をサポートするための栄養をとるのがいい。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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