●ケニア人と日本人の走り方の違いにある本当の真実
ケニアは、北京オリンピックや長距離種目で多くのメダルを獲得しています。それはエネルギー利用効率の問題に関係しているのです。エネルギーの利用効率とは、わかりやすく言うと、走るときに消費するエネルギーに無駄がない、ということです。そのヒントは、ケニア人は膝から下が細くて長いことにあります。それに対して、日本人はどうでしょう?私もそうですが、膝から下が太くて短いですよね。
そしてズバリ、エネルギー効率がなぜ悪いのかは、アキレス腱の長さに関係しているのです。強く長いアキレス腱は、バネのように働き、エネルギー消費量を増やさないというメリットを備えています。そのため、ケニア人やエチオピア人は、バネのように飛び跳ねる走りをしながらも、疲れることなく走り続けることができるのです。
日本人の場合は、アキレス腱が短いため、バネを使った走りができにくい体型と言えます。もちろん、効率良くバネを使えるようになるトレーニングも必要なのですが、日本人の場合は、バネを使った走りを極めようとすると、どうしてもケガや故障が多くなってしまいます。
こうした体格的ハンディを克服するために、1990年代の中盤以降、日本では、短距離種目を中心に競歩の動きを取り入れて動作改善を行った結果、100m種目では伊東浩司君が10秒00まで記録を伸ばすことができました。そして、同様に、長距離においてもランニング動作を習得するための事前段階として、歩く(ウォーキング)動作の見直しが積極的に行われるようになったのです。
30代を過ぎると、運動をやっていない人はアキレス腱や筋肉が徐々に衰えてきますので、アキレス腱のバネを使う走り、いわゆる足首を伸ばしたりふくらはぎの筋肉が伸び縮みする動作を中心とした動きよりも、競歩動作のように股関節を動かして脚を振り出す運動をメインとした動きのほうが、エネルギーの利用効率が高く、その結果、ケガや故障が少なくなります。
(「正しく”歩いて”東京マラソン完走」)
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