●風邪の熱は下げるな!
風邪をひいて熱が出た。さて、真っ先にとる対応はどんなものになるだろう。
「とりあえず熱を下げなきゃ」
もっとも一般的な対応がそれだ。しかし、発熱は体の防御反応なのだ。だから、むやみに熱を下げることは、かえって逆効果でしかないのである。
感染した風邪のウイルスと熱には相関関係がある。たとえば、体温が37度までしか上がらない場合もあれば、38度になる場合、あるいはそれ以上にまで上がる場合もある。どうして体温にそのような違いが出るのか。
それはウイルスが”決めている”のだ。体温が37度になるのは、感染したウイルスがその体温で一番死にやすいからなのだ。38度まで上がるケースは38度でウイルスが撃退されということ。インフルエンザでは39,40度という高熱が出るが、インフルエンザウイルスはその体温に一番弱いからである。
言葉を換えれば、かかったウイルスによって、免疫が働く体温が異なるということだ。免疫はたんぱく質の作用だが、ウイルスごとにそれが活性化する体温が違う。体温は免疫にかかわるたんぱく質がもっとも活性化するところまで上昇し、免疫の働きを促進するのである。
だから、熱を下げるのは免疫を妨げることにつながってしまう。熱が出たらその体温を保ち、安静にしている。それが免疫を思う存分働かせる、正しい対応である。
風邪は、医学的には急性上気道炎といって、鼻や咽喉など気管支の上気道に炎症が起こるものすべてが含まれる。原因はほとんどがウイルスで、その数は100種類以上ともされている。体温の上がり方はウイルスごとに違う。
風邪の症状はさまざまだが、それもウイルスの違いによるもの。たとえば、鼻風邪の原因はナイロウイルスと呼ばれるものだし、咽喉が痛くなるのはアデノウイルスとか、コクサッキーと呼ばれるウイルスが原因。40度もの高熱が出る”風邪”がインフルエンザだ。
もちろん、発熱のため飲食ができない場合や、体力の消耗が激しい高齢者や子どもに対してなど、熱を下げなければいけないケースもあるが、風邪にともなう通常の熱なら、「おっ、ウイルスをやっつけにかかったぞ!」と受け止めて、横になって静かに休み、栄養のあるものを食べる、というのが基本的にはいい。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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