●バネを使った走りとは?
ランニングの理想のフォームをいうときに、「バネを使って走る」ということがあります。
(中略)
ランニングでいうバネとは、筋肉と腱が一体になったもの。これを「筋腱複合体(マッスル・テンドン・コンプレックス)」といいます。腱とは、筋肉の末端の硬くなった組織で、骨との付着部に相当します。ランニングで何よりも大切な筋腱複合体は、ふくらはぎの下腿三頭筋とアキレス腱がつくる筋腱複合体。アキレス腱は人体で最も長い腱で、そのおおよその長さは15cmほどにもなります。
筋腱複合体のバネは、着地の瞬間にその力を発揮します。
筋肉は急に引き伸ばされると、切れないように収縮する性質があります。これを「伸張反射」といいます。
あらゆる動作は伸張反射をうまく利用しています。たとえば、その場ジャンプをする前にしゃがむのは、大腿前側の大腿四頭筋を引き伸ばして伸張反射を起こし、大腿四頭筋が縮むタイミングに合わせてヒザを伸ばすことで大きな力を発揮するためです。このような筋肉を意図的に伸ばして(ストレッチ)から縮める(ショートニング)運動のパターンを「ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)」と呼びます。
ランニングでは着地の瞬間、ふくはぎの下腿三頭筋は伸ばされます。このとき下腿三頭筋につらなるアキレス腱も一緒に引っ張られます。
すると下腿三頭筋が伸張反射で縮むと同時に、輪ゴムやスプリングを伸ばした後に手を離すように、引っ張られたアキレス腱にたまった弾性エネルギーが一気に解放されます。この仕組みを上手に使うのが、バネを使った走りです。
バネを使うためのポイントには次の3つがあります。
①接地時間を短くする
②中足部から着地
③足首を固定する
(「マラソンは「ネガティブスピリット」で30分速くなる」)
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