環境ホルモン

●環境ホルモンとは何か?


最近、われわれの環境にある物質が体内に入って、体の性ホルモンに影響を及ぼすことがわかり、環境ホルモンと名づけられました。内分泌かく乱物質とも呼ばれます。


よく知られているものに「ダイオキシン」があります。複雑な環状の構造に塩素や臭素が結合しており、ダイオキシンの種類は100種類以上もみつかっています。


これらは焼却場での低温焼却で発生し、また農薬などに含まれていたものです。これまでに知られている環境ホルモンの中で4、5個の塩素と結合した「ジベンゾ-ダイオキシン」が環境ホルモンとしてもっとも作用が強く、代表してダイオキシンと呼びます。


これらは性ホルモンに似た働きをしてかく乱させ「受精・妊娠・出産」という生殖生理に影響を及ぼすほか、発癌性や奇形を発生させる性質もあります。


そのため、人を対象とした研究はそれほど進んでいません。もっぱら動物実験による知識が集まっています。


ダイオキシンの作用により、たとえば雄では、男性ホルモンといわれる「テストステロン」が減少し、精巣の精子の数が減り、肛門と性器の間が狭くなり、メス化が進むとされています。


これは人類の滅亡にもつながりかねない一大事ですから、官民を挙げて解決に取り組んでいるのはご存じのとおりです。


さいわい、塩化ビニルなどを高温で焼却しますとダイオキシンの発生量が減りますので、ここ十年ほど日本人のダイオキシン摂取量は徐々に減っています。


ところが、少子化や精子減少には一向に歯止めがかかっていません。環境ホルモン物質は、ダイオキシンだけではなかったのです。ダイオキシンの被害が少し後退し始めた今、代わって別の環境ホルモン物質の存在が急浮上してきました。


それが、「植物油」です。


今まで多くの人に気がつかれてなかったのですが、毎日、調理に使っている食用油や加工食品に使われる油脂(あぶら)が、ダイオキシンとは別に、一部の油種ではダイオキシン以上に、強力な環境ホルモン作用を示すことが分かって来たのです。


このことは、ダイオキシンの問題と同じように重要な問題であり、やはり、官民挙げて解決すべき大問題なのです。


しかもこのことは、動物に餌として超大量を与えたときの話ではありません。


人が普通に食べている量と大差のない量で、性に関するホルモンの代謝が影響を受けるのです。

(「本当は危ない植物油」)




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