●シソ油・エゴマ油
シソ科植物のシソやエゴマ(ゴマとは科が異なる)から食用に搾油したもので、シソ油と名づけられて研究が進みました。
シソとエゴマ(容易に交配する近縁種)を区別する場合もありますが、現在までのところ、作用の差は見つかっていません。
もっとも詳細に研究された油の一つで、英文原著論文は百を優に超えています。α-リノレン酸が多く(60%以上)、オメガ6対オメガ3の比が1対4以下であるという特徴があります。
動物実験でアレルギー、癌、動脈硬化、アレルギー過敏症、などを抑える効果が示されており、二世代にわたってシソ油・エゴマ油のみを与えても(餌の1割)、有害な作用は認められません。
安全性も極めて高いといえます。私の研究生活のかなりの部分がシソ油の研究に費やされましたが、のちに韓国やフランスのグループも研究に加わっています。癌の化学予防の面では、最も有望なものと評価されています。
臨床的にも流動食に使われ、またビタミンEの基材として使われ、アトピー性皮膚炎の予防に有効であることが示されています。
炎症性腸疾患の場合は腸管吸収にも問題がありますが、医療の現場ではシソ油・エゴマ油が推奨されています。
お勧めできる植物油ですが、現在までのところ、オメガ3群の「シソ油・エゴマ油」と「亜麻仁油・フラックス油」の2種類しかみつかっていません。
シソ油・エゴマ油を野菜、肉類、魚類などの炒め物に使うと(高価なのでわが家では天ぷらには使いません)、一人あたり、一ヶ月700円ほどの出費増となります。炒め物やトンカツなど、あぶら料理はバター、ラードなどを使うことを勧めています。老舗のトンカツ屋ではラードが使われています。
シソ油・エゴマ油や亜麻仁油・フラックス油は弱点もあります。自動酸化しやすいのですが、抗酸化ビタミン(ビタミンCの脂肪酸エステルとビタミンE)で安定化されたシソ油・エゴマ油は炒め物に使えます(200℃以下の設定)。
一番搾りを”売り”にしている製品では、低温調理に使うよう勧めているものもあります。
(「本当は危ない植物油」)
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