●臓器別医学は医者をダメにする
自然の摂理に学ぶなら、まず現在の臓器別医療をやめることが求められます。臓器別医療は、「木を見て森を見ない医療」だからです。自然には単独で成立しているものなどありえません。すべては互いに影響しあい、バランスを保っているのです。
最近、「海を育てる森づくり」というのが話題になっているのをご存知でしょうか。これは、急に海から魚がいなくなったのを不思議に思った漁師たちが原因を調べたところ、数年前に開発のために山の木が広範囲にわたって伐採されていたことが原因とわかり、魚を呼び戻すために山に植林をするというプロジェクトです。一見しただけでは関係性がないように見える木の伐採と海の魚ですが、自然のサイクルの中では密接につながっていたのです。
人間の体も同じです。60兆個の細胞それぞれの個別の活動が、血液・リンパの流れ、胃腸の流れ、尿の流れ、空気の流れ、そして気の流れという5つの流れを媒介に、密接に関係しあいながら生命活動が行われているのです。
そうした流れを無視して、胃だ腸だと単独の臓器だけで問題を解決しようとすることに、もともと無理があるのです。このまま臓器別医療が進んだら、その先にあるのは、もはや医師ではありません。自分の専門があったとしても、それ以外の臓器のことも、その患者の健康状態をトータルに診ることができるのが本当の医師というものです。
見るからに顔色の悪い患者を目の当たりにしても、自分は胃腸の専門だからと、ただ腸にコロノスコープを入れて、ポリープはないか、ポリープはないかとただそれだけを診て、「ポリープもガンもなかったですよ、よかったですね」と帰すのでは、あまりにもお粗末です。
(「病気にならない生き方」)
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