運動による日々の微少な損傷でなく、運動不能になるほど損傷した場合の話し。
●患部は冷やす?温める?
捻挫、骨折などをした場合に、患部を冷やす場合と温める場合があります。受傷直後の出血している場合、出血が多いとその後漏れた血を吸収するのに時間がかかるし、血液は”刺激物”なので痛みと熱を持つ炎症が拡大するので、出血を最小限にするために、患部を冷やします。応急処置でRICEと言われるのは、患部をRest(安静)、Ice(冷やす)、Compression(圧迫)、Elevation(心臓より高く上げる)ということですが、いずれも出血(血が入る方向)を少なくし、静脈(戻り方向)の流れを良くし、損傷した組織のむくみや出血を最小にするということです。氷そのままだと温度が低すぎて凍傷の危険があるので、水と一緒にして(0度)、これをビニール袋などに入れて応急処置します。これによりその後の治りが早くなります。アイシングについては、5分冷やすともっともよく冷え、10分だとかえって血流が増加するという説や、冷やすのは30分という説もあります。実際冷やすと冷たくていやなのもあり、私は5分冷却、その後圧迫
、拳上(心臓より患部を高く上げること)、安静作戦を使っていますが、患部が冷えていれば良いわけで、冷やしてはいるが患部が熱を持ってきたような気がするという場合は中止したり、患部が冷えている感覚がある場合は続ければ良いわけで、理屈がわかれば自分の身体に合わせて判断できるでしょう。冷やすのが必要な期間中は入浴するとそれが脚1本でも全身の血行が良くなってしまうのでシャワーが良いようです。温泉に入ってビールを飲むなんてのは最悪です。RICEは靭帯完全断裂の場合で3日、切れかかっている場合で1~2日積極的に行うと言われています。その後は症状に応じて通常モード(シップを貼ったり)で冷やしたり暖めたりすることになります。それから靭帯の場合で切れてから2週間経つと切れ目が丸まって手術してもつながらなくなるので早めに病院で修理してもらいましょう。
温めるのは血行を良くして患部に栄養を行き渡らせるためなので、通常は1~2週間後で完全に患部の腫れ、すなわち炎症が引いてからとなります。手元の資料では出血の止まった2~3日後からというのもありますがこれは軽症の場合の最短と言えるでしょう。患部がまだ熱を持っていたり炎症が残っているようであればまだ冷やす時期です。この冷やす温めるの考え方は骨折でも共通です。また、日常の筋肉痛も、損傷のひとつなので、同様に応用できます。プロ野球の投手は、試合が終わった直後から巨大な器具でアイシングをしていますが、あれは怪我をしたわけではないのです。
(ランニングの科学)
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