●炎症が起きているのにはワケがある
炎症(痛み、発熱)は病気や症状に対する防御反応である。それを薬で抑え込むとどんなことが起きるのか。
まず、痛みを薬で抑える場合を考えてみよう。確かに、痛みは消える。しかし、それは同時に痛みの原因を見えなくしてしまうのだ。たとえば、頭が痛いといっても、その原因はさまざまだ。疲れや肩こりからも起こるし、目の使い過ぎも原因のひとつだろう。あるいは、感染症、腫瘍、動脈瘤などのもっと重大な脳の病気が頭痛を引き起こしていることもある。
本来、見極めなければいけないのは、その原因なのだが、むやみに薬を使って痛みをとってしまえば、それで「あぁ、すっきりした!」で一件落着となって、本当の原因が隠れてしまう可能性が大いにある。一時的に痛みをとったことで、かえって原因にたどり着くのが遅れてしまうのである。
また、病気を治そうとしている炎症を抑えるわけだから、炎症の戦闘能力を低下させてしまい、結果的にその病気を長引かせるといったことにもなる。
薬を使ったことで「痛みがやわらいだ。ラクになった」と無理をしがちになるのも問題。痛みをだましだまししながら、従来の仕事や生活を続けているうちに、その無理がたたって寝込んでしまう、入院しなければならなくなる、といったことになるケースは決して少なくないのだ。
熱も下げればいいというものではない。感染症にともなう発熱を薬で下げてしまったために、治りが遅くなるということがしばしばある。発熱という感染症と闘うパワーをいたずらにそいでしまうのは、正しい病気の対処とはいえない。
もちろん、痛みをとったり、熱を下げたり、という薬の効果を活用すべきケースも多々ある。ひどい頭痛がして何もする気が起きない、腰の痛みで動くのもままならない、熱でボーッとしている……といった場合には、薬でその状態を緩和することが生活の質を維持することにもつながる。
要は使い方次第ということだが、うまく使っていくには、薬のメリットばかりでなく、デメリットについても知っておくことが必要だ。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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