運動の効果を上げるには、運動強度に強弱をつけるのと休養が必要になります。
●走りたくない日は走らなくて良い
練習計画を立て、結果的に月間何km走ったかを累算すると、あとで見返したときに「こんなに走ったんだ」と自信や満足感につながります。ところがはじめに「月間250km走ろう」と決めると、数字のつじつまを合わせるために、トレーニング量を増やそうとします。すると「走りたくないな」と思う日でも、ノルマをこなすために走ることになります。こういったリスクをなくすために、マラソンの日本最高記録保持者である高岡寿成さんは現役時代、累積距離は計算していなかったそうです。
競技選手は走りたくない日でも走る勇気は必要ですが、趣味でマラソンを楽しんでいる市民ランナーであれば、「走りたくない」と思ったら走らない勇気が求められます。ランニングを習慣化して生活に取り入れるプロセスでは、多少無理して走ることも必要ですが、走る習慣がついたランナーが「走りたくない」と感じる背景には、多くのケースで疲労の蓄積が考えられるからです。
疲れを抱えたままでは走っても強度が上げられないので、効果的なトレーニングができなくなります。また、疲れが雪だるま式に増えると回復までに時間がかかりトレーニングを中断せざるをえなくなります。また、疲労の蓄積は筋肉や関節などを傷めるリスクを高めます。
私自身、大学を卒業してからも、趣味と研究を兼ねてランニングを続けていますが、走りたくないと思った日に走ったことは一度もありません。
プラン通りにトレーニングを続けるのは大切ですが、体調などに応じて柔軟にプランを見直すことはもっと重要。仕事が忙しかったりして疲れが溜まり、トレーニングが当初の計画通りにこなせないと「ダメだ」と自分を責めがちですが、ダメなのは自分自身ではなく、無理をしないとこなせない計画のほうです。
ポイント練習の日に「疲れているな」と感じたら、強度の低いつなぎ練習にスイッチしましょう。また、つなぎ練習の日に「走りたくない」と思ったら、思い切ってトレーニングを休みましょう。空いた時間でスポーツマッサージやスーパー銭湯などに出かけて疲れを癒し、気分をリフレッシュ。そうすれば、新たな気持ちで次のトレーニングに積極的に臨めるでしょう。
(「毎日長い距離を走らなくてもマラソンは速くなる!」)
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