前回の続き。
人間は常に飢えていることがベースだったから、いまのように血糖値が上がるような生活は、からだにとって想定外だったわけです。
ところが、飽食の時代を迎え、砂糖中毒に陥った現代人は、血糖値が急激に上昇してしまいます。ところが、血糖値を下げるためのホルモンはたったひとつしかないので、血糖を下げるシステムが間に合わなくなり、糖尿病という病気を発症するわけです。
もし、人にもうひとつ、血糖値を下げるホルモンが備わっていれば、いまほど糖尿病の患者数が増えることはなかったでしょう。
もちろん、免疫細胞によって膵臓の細胞がダメージを受ける一型糖尿病は昔からあったでしょうが、食生活が原因で発症する二型糖尿病はほとんどなかったはずです。
人間の食文化は、それだけ食べられない時代が続いていたということです。
つまり、この地球上の食料供給という観点からみても、飽食になるというのは滅多に起こることではありません。
ところが、実際には、先進諸国では飽食がふつうの状態になってしまったことが問題であるわけです。地球上の食料供給が進化してしまったのです。
しかし、動物としての人間のからだのシステムは、飽食の時代に対応できるように用意されていません。
(中略)
そのため、血糖値が上がりっぱなしで10年以上過ごしてしまう人が増えています。
そのような状況で、インスリンは血糖値を下げるために最後の最後までがんばります。通常の5~10倍ものインスリン濃度を維持し、どうにかして血糖値を下げようとする状況に陥っています。
すると、インスリンは全身に作用することになります。
インスリンは血糖値を下げるだけでなく、過度に分泌されるとさまざまな悪さも働いていることが、最近になってわかってきました。
近頃いわれているメタボリック症候群とは、長期間、高濃度のインスリンに全身がさらされることによって、インスリンが効かない代謝異常の状態をつくりだしてしまっているというケースが多いようです。
さらに、インスリンは脳の神経細胞にも働きかけ、行動に異常を与えることがあります。
さきほど紹介した、インスリンが過剰に分泌されるインスリノーマという病気では、発症すると性格が少し異なってきます。
それは内科の教科書にも出ている症状で、てんかんのように脳の神経を興奮させ、異常行動を起こすことがあるのです。
食品業界が引き起こした砂糖中毒は、高血糖状態を引き起こし、その結果、インスリンの過剰分泌による健康への弊害まで招いてしまうのです。
(「砂糖」をやめれば10歳若返る!)
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