2010年に、「NATURE NEUROSCIENCE」に掲載された論文です。発表したのはアメリカ、スクリプス研究所の分子治療学者ポール・ケニー博士です。
ケニー博士は、ラットを使った40日間の実験で、ジャンクフードをとりすぎたときには、麻薬と同じように快楽中枢(報酬回路)が刺激されていて、最後には麻痺してしまうことが確認されたのです。
(中略)
●精製されたものが、コカインのような働きをする
この論文から、高脂肪食がまるでコカイン中毒者のような中毒のメカニズムを作っていることが証明されました。つまり、ベーコンやチーズケーキ、チョコレートなど脂肪が多く、高カロリーで魅力的な食べ物、ジャンクフードが中毒物質になることを証明したのです。ケニー博士の主張によると、コカインなどの薬物を常習するときと、ジャンクフードをたくさん食べているときは、いずれも同じように摂取する量が増えていき、脳内の報酬回路に中毒物質が作用していると考えられています。
さらに、この報酬回路は高脂肪で高カロリーなジャンクフードを食べ続けているとクラッシュしてしまい、最終的には食欲がコントロールできなくなってしまうのです。
40日間の実験で、ジャンクフードを食べ続けたラットは、すべての注意が食べることに向けられるようになり、その反応はコカイン中毒とまったく同じものでした。
こうしたケニー博士の実験結果を受け、アメリカ、エネルギー省管轄のブルックヘブン国立研究所のジーン=ジャック・ワン博士は、特別驚くことではないといっています。
ジーン=ジャック・ワン博士は、現代の食事はコカインのようなものだといっています。その理由は、現代食の材料には精製度の高いものが多くなってきているからです。
実は、コカインの原料であるコカそのものは、古くから利用されていて、麻薬のように強い中毒性はありませんでした。ところが、コカを精製してコカインにすると、高濃度となって脳に効率よく到達できるようになり、中毒性が高まってしまうのです。コカをコカインに精製したことにより、非常に高い習慣性が生まれてしまいました。
(中略)
ジーン=ジャック・ワン博士は、過去の歴史の中から食事が麻薬になり得ることをわかっていたので、今回のデータを見て驚くに当たらないというコメントを述べたのです。
ジーン=ジャック・ワン博士によると、近代になってコカからコカインを精製する技術が発達したように、食事も脂肪や砂糖などを精製して、好きなものを効率よくとれるように、進化してしまったと述べています。
精製技術がない頃は、人々は食べ物を丸ごと食べていました。例えば、穀類であれば全粒です。ところが、いまは精製して真ん中の白い部分だけ食べています。わかりやすい例えでいえば、かつてはコーンを食べていたのに、現在はコーンシロップを飲んでいます。コーンをそのまま食べるのと、精製して甘いシロップとして抽出した液体では、脳に伝わる刺激もまったく違ってきます。
(「砂糖」をやめれば10歳若返る!)
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