●常習性の高いものを食べさせることで、成り立つビジネス
店側としては、中毒性の高いものを提供するほど、リピーターになってくれる客が増えるので、理想的なビジネスモデルなのです。
限られた時間内にすまさなければならない昼食に、何を食べるか熟考する時間はありません。ランチメニューは短時間に「これが食べたい」と思いつかせるかで勝負が決まるので、ビジネスモデルとしては、やっぱり常習性の高いものを提供し、それを選択してもらうという戦略が一番はびこりやすいのです。
例えば、私と同じ世代の人が道を歩いていて、パン屋を見つけたとき、メロンパンやあんドーナツ、揚げパンのようなメニューが出ていたら、つい買ってしまいます。
これら定番メニューは宣伝する必要はありません。店頭に置いておくだけで売れるからです。
それは、小学校の給食でこれらのパンが出ていたからです。子どもの頃に食べて、記憶に残っているので、目にすると購入してしまう、というトラップに陥るのです。
よく考えると、メロンパンやあんドーナツ、揚げパンなどは、精製された砂糖や脂質がたっぷりで給食のメニューとしてはあまり適していません。ところが、実際には給食の人気メニューでした。これも若い頃に常習性の高いものを提供しようとするビジネススキームからきていたのかもしれません。
わかりやすい例ではファストフード店です。1971年にマクドナルド第1号店が銀座にオープンして以来、ファストフードは若者の食べ物でした。子どもが食べるものであり、宣伝の対象もティーンエイジャーをターゲットにしていました。一時は、子どもをターゲットにした広告ばかりになっていたこともあります。
ところが、現在ファストフード店のランチタイムはサラリーマンが行列をつくっています。不況の昨今、安いという魅力もあるでしょうが、おそらくそれだけではありません。
子どもの頃からファストフード店の味に慣れ、中毒性をインプットされてしまった大人がついつい通ってしまうのでしょう。
親の世代が好んで通うのですから、その子どもも自然とファストフードの中毒患者になります。そこまで見越してかどうかわかりませんが、現在のファストフード店の宣伝は特に子どもやティーンエイジャーに絞ってはいません。おそらく、すでに中毒患者が十分増えたので、若い世代へのPRが必要ないからでしょう。
そのうち、あと十数年もたったら、70~80歳代の人達がたむろしているのではないかと想像しています。そうなっていれば、ジャンクフードの中毒性を証明できるのではないかとも思います。
(「砂糖」をやめれば10歳若返る!)
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