●運動不足は寿命を縮める
世界保険機構(WHO)は、2010年、健康のために必要な身体活動に関する勧告「健康のための身体活動の勧め」を発表しました。
この勧告を見ると、ガンや糖尿病、心血管疾患など、感染症を除いた慢性疾患を予防するために必要な運動量や強度、頻度、期間、種類などに関する具体的な推奨が3段階の年齢層ごとに示されています。
意外に思われるかもしれませんが、運動不足は全世界の死亡の危険因子として高血圧、喫煙、高血糖に次ぐ第4位に位置し、年間320万人の死亡原因となっています。世界人口の31%が運動不足の状態にあると推定されているのです。
このうち、18~64歳の成人については、中等度の有酸素運動を1週間に150分以上行なうことで、乳ガン、大腸ガン、糖尿病、心疾患などを含む慢性病のリスクが低下するとしています。また、65歳以上については、18~64歳と同様の内容を前提にしつつ、健康状態に問題がある場合は行なえる範囲の運動を推奨しています。
たとえば、健康成人集団(ランニング群284例と対照群156例)を21年間にわたりフォローアップした研究では、対照群に比べてランニング群の平均障害レベルが低く、障害の進行速度が遅いという結果が得られました。また、終了時に80代の被験者を対象に検討した場合も、ランニング群と対照群との障害・生存曲線はかけ離れたままでした。
これは、定期的な身体活動を行うことにより、死亡率が低下するだけでなく、障害が現れるまでの期間も延長することを意味しています。もちろん、障害が現れる期間が遅くなれば、障害が現れてから死亡年齢までの病的状態が圧縮される可能性もあるでしょう。つまり、身体活動で健康寿命が延びることになるわけです。
(「間違いだらけの食事健康法」)
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