●加熱調理に適した植物油は?
加熱調理の際には必ずオイルが必要になりますが、どんな種類のオイルを使用するのがよいのでしょうか?
クッキングオイルについては一般の栄養本でも間違った記述が目立ちます。オメガ3脂肪酸のように生で摂取するものとは性質がまったく違いますから、混乱を防ぐためにも詳述していきましょう。
現代人の食事がオメガ6脂肪酸の過剰摂取につながっていることはすでに述べてきた通りですが、その主な要因は調理の際に使用する植物油の種類に大きな問題があったからです。
調理に使用する油は、熱の酸化作用に対して安定している、つまり酸化されにくい性質のものでなければなりません。脂質の中で最も酸化されにくいのは、順番をつけていくと①飽和脂肪酸、②短鎖飽和脂肪酸、③長鎖不飽和脂肪酸になります。
この点をふまえると、飽和脂肪酸の代表であるココナッツオイルが加熱調理には最も向いていることになりますが(しかも、腸の有用微生物にとって有益で、抗炎症作用をもつラウリン酸を豊富に含んでいます)、入手しにくいのが難点でしょう。
そこで登場するのが、2番手の短鎖飽和脂肪酸です。この短鎖飽和脂肪酸を豊富に含んでいるオイルの代表が、オリーブオイル、アボカドオイル、マカダミアオイルです。入手しやすさから考えると、加熱調理にはオリーブオイルが最もおすすめと言えるでしょう。
●「サラダ油」は心臓血管障害を増やす
これに対して、最後の長鎖不飽和脂肪酸のオイルは加熱調理には向いていません。
スーパーでよく売られている紅花油、胡麻油、コーン油、菜種油、これらをブレンドしたサラダ油などは、この長鎖不飽和脂肪酸のうちのオメガ6脂肪酸に属しています。このオメガ6脂肪酸を調理油に使ってきたことが、心臓血管障害などの増加につながっているのです。
対処法としては、これらの植物油の使用をやめて、加熱調理の際はオリーブオイル、アボカドオイル、マカダミアオイル(あるいはココナッツオイル)などに切り替えることが一番です。
また、同じ長鎖不飽和脂肪酸に属するオメガ3脂肪酸は、亜麻仁油、大麻油、ウォールナット油などに多く含まれますが、こちらは摂取量が慢性的に不足しています。加熱調理によって酸化する点はオメガ6脂肪酸と変わりませんので、新鮮な野菜などのドレッシングとして使用するといいでしょう。
(「間違いだらけの食事健康法」)
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