●出っ歯と受け口は解決できる
出っ歯(上顎前突)は上あごと下あごの前後的な成長のずれがあるために起こります。「上顎前突」という呼び名から、上あごの前方成長が過大なために起こると思われがちですが、実際には違います。
矯正治療を行なう前に、骨格の大きさや成長方向を検査するため、頭部X線規格写真というレントゲンを撮影すると、大半の上顎前突の人には、下あご前方の成長不良が見られます。すなわち、下あごが引っ込んでいるため、上あごが出ているように見えるというわけです。
これも下あごの骨格の成長不良によって起こる不正咬合です。そして上顎前突の場合には、ほぼすべての人に上あごの横幅の成長不良もまた認められますから、上顎前突という不正咬合のきっかけも鼻中隔軟骨の成長不良が発端となって起こると考えられます。
反対に、受け口(反対咬合)というと、下あごが前方に過成長、すなわち伸びすぎることで起こるようなイメージです。反対咬合の治療は、伝統的には成長期に下あごが前に伸びないように、あごの成長を抑える治療(チンキャップ)が主流でしたが、これもさまざまな研究で上あごの前下方への成長不良によって起こることがわかっています。ですから現在では反対咬合の成長誘導にチンキャップは効果がないとされ、使われなくなっています。
上あごの成長が十分でないことで、反対咬合も起こってくるということならば、ガタガタの歯並びも出っ歯も受け口も、そのきっかけはすべて上あごの成長不良、つまり鼻中隔軟骨の成長不良からつながっているのです。
そして、不正咬合を引き起こすのは遺伝ではなく、環境要因です。この環境要因とは、主に妊娠時の母体の栄養状態(と、恐らく父親の栄養状態も)が密接に関係していると推測できます。
不足することで大きな問題が起こる栄養素は、何も鉄だけではありません。一般的に、妊娠時、授乳時、成長期、病中・病後の回復期などは、通常時に必要な栄養以上の特別な栄養を必要とするとされています。その量は、通常時の2~4倍と一般的には言われています。
(「歯医者が虫歯を作ってる」)
コメントをお書きください