●白血球が「内なる敵」を作る
慢性炎症を引き起こす最大要因「リーキーガット」について述べてきましたが、これが問題になるのは、腸の粘膜の間から流入する抗原(タンパク質)の中に私たちの体を構成する組織と似ているものがあり、それに白血球が反応して抗体が作られるからです。この現象を「分子擬態」と呼びます。
こうして作られた抗体は、結果として私たちの体の組織を攻撃することになります。体を守るために働いているはずの白血球が、図らずも「内なる敵」を作り、攻撃することになるのです。
このように敵だけでなく味方を誤爆してしまうことを「交差反応」と言います。この交差反応が一度起こると、感染や食事による摂取が過ぎ去ったあとも延々と自分の組織を攻撃してしまうことになり、これが慢性炎症の原因となるわけです。
たとえば、分子擬態で有名な疾患に「リウマチ熱」があります。「A群β溶血性レンサ球菌」というバクテリアの感染が原因ですが、このバクテリアの細胞壁のタンパク質と私たちの心臓の筋肉にあるタンパク質の組成が似ているため、交差反応から慢性的な心筋炎が起こります。
このほかにも、分子擬態によって関節リウマチ、多発性硬化症、エイズ脳症、糖尿病、強直性脊髄炎、重症筋無力症など多数の慢性炎症疾患が起こることが分かっています。
(「間違いだらけの食事健康法」)
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