●動物の油に溶け込んでいるアブナイ物質
動物性油脂には油に溶けるさまざまな物質が含まれています。まず、体に良いものの代表はなんといっても脂溶性ビタミンであり、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどがそうです。特にビタミンD3は動物性油脂にしか含まれません。ビタミンは人間が生きていく上で必要不可欠の栄養素ですから、欠乏症にならないためには、良質の脂質をしっかりと摂る必要があります。
動物の油に溶け込んでいる物質はビタミンばかりとは限りません。成長を促進させるために投与されるアナボリックステロイド剤や、乳の出を良くするためのホルモン剤なども脂溶性のために牛の脂質に蓄積します。脂質の中ではこれらステロイドホルモンは比較的安定した状態となり分解されにくいので、そういった動物の油を摂ることでわれわれもこれらホルモンの影響を受けてしまうことになるのです。
外から投与されるホルモンばかりでなく、もともと動物が分泌するホルモンも脂質に入り込んでいます。乳牛は効率的に乳を出させるために、出産後すぐにまた人工的に妊娠させられます。乳牛はいつも妊娠状態に置かれるためエストロゲンが常に分泌され続け、脂質に蓄積します。そうやって飼育された牛乳の中にも相当量のステロイドホルモンが入っているため、年少の女の子がそうした牛乳を摂り続けると、初潮や二次性徴が早く出現したりします。
脂溶性の薬物も脂質に蓄積します。日本で消費される抗生物質の3分の2は家畜用であり、そういった薬物の多くも脂質に蓄積しています。
ですから動物性油脂であれば特に気にすることなく好きに摂ってよいと単純に考えてはいけません。特に家畜肉の脂身は、その家畜がどういった飼育環境で育てられたのかをしっかりと吟味することが重要です。そして、怪しければ摂るべきではありません。
そういうことを考えると、やはり動物性油脂は天然物の魚介類や野生動物から摂ることが理想といえるでしょう。
(「歯医者が虫歯を作ってる」)
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