●問題となるオメガ6の過剰摂取
狩猟採集時代の食事と現代食との大きな違いは、不飽和脂肪酸に含まれるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の割合です。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の割合は、狩猟採集時代の食事が1:1~2であったのに対し、現代食で1:10を超えています。
オメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)を代表とし、亜麻仁油、シソ油、いわし、あじ、さば、カツオ、マグロ、サケなど青魚に多く含まれ、炎症を抑制し、様々な慢性病に効果があることが分かっています。
一方のオメガ6脂肪酸の代表が、リノール酸(LA:代謝されてアラキドン酸になる)で、サフラワー油、ピーナッツ油、ゴマ油、コーン油、ベニバナ油、グレープシードオイル、ヒマワリ油、ダイズ油などの植物油に含まれています。オメガ6脂肪酸は、IL-6やTNF-αなどの炎症性物質を産生させ、炎症を促進するほうに働きます。そのためオメガ6脂肪酸は乳ガンや前立腺ガンなどの発症との関係も示唆されています。
現代社会でのオメガ6脂肪酸摂取の上昇は、様々な料理や加工に使用される植物油の多用が原因ですから、その使用は極力控えなければなりません。
食事中のオメガ3脂肪酸を増やし、オメガ6脂肪酸を減らした食事が心臓血管障害に及ぼす影響を調べた研究では、羅患率と死亡率がじつに70%も減少したことが報告されています。
オメガ3脂肪酸の割合が高いのは、脂身の多い青魚や牧草で育った家畜の肉や
卵などで、穀物で育った家畜の肉や卵はオメガ6脂肪酸の割合が高くなります。これは、草の中にオメガ3脂肪酸が豊富に含まれているからです。穀物は私たち人間だけでなく、動物にもよくない代物なのです。
ただ、私たち人間が草を食べても、草に含まれるオメガ3脂肪酸は利用できません。進化の過程で植物中のオメガ3脂肪酸を利用する酵素が退化したからです。草食動物は草から取り入れたオメガ3脂肪酸を私たち人間が利用しやすいオメガ3脂肪酸に変換してくれているのです。このことからも肉食が人間にとって必須であることが分かるでしょう。
(「間違いだらけの食事健康法」)
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