●歯医者の儲けのテクニック
まず古典的な方法として、むし歯の治療の際、むし歯に侵されている歯質(感染歯質)を全部取りきらず、少し残しておくというのがあります。むし歯が残ったままでその上から詰めたり被せたりすると、詰めものや被せものの下に残っているむし歯が徐々に大きく広がっていきます。しかし詰めものや被せものの下で広がっていくむし歯というのは、なかなか発見できません。そうして詰めものや被せものが外れたり、歯が痛くなる頃には、すでに相当むし歯が進行してしまうのです。
多くの読者の方にとっては信じられないケースでしょう。しかし、残念ながら、僕のクリニックでの歯科臨床のうち、他のクリニックで治療した歯の再治療のかなりの部分で、前回治療時のむし歯の取り残しが広がっているのが見受けられるのです。
特に詰めものや被せものが外れたという場合、9割方は中でむし歯が広がったことが理由だといえます。むし歯が詰めものや被せものの中だけで広がっている場合には、原因は前の治療時の取り残し以外に考えられません。
前に治療したところがすぐに外れたり痛くなったりすれば、普通の人なら以前の歯医者での治療に問題があったと疑うのではないかと思われることでしょう。しかし患者の多くは歯医者がそんなことをするわけがないと信じていますし、もし前の治療の不備を疑われても、歯医者はこう言ってごまかすことができます。
「あなたの歯磨きの仕方が悪いから(きちんとできていないから)、またむし歯になったのですよ」と。
僕が、第一章の一番最初に「歯磨きはむし歯を予防しない」と書いたのには、こういう理由があったのです。多くの歯医者にとっては「歯磨きの仕方が悪いから、虫歯になる」というのは、患者にむし歯の本当の理由を知られないようにするだけでなく、治療の不備を患者に責任転嫁するのに非常に都合が良い理屈なのです。そうやって歯医者は”お得意様”を作っていきます。ですから、患者に「歯磨きの仕方が悪いから、むし歯になる」と告げる歯医者には、決して行ってはいけないのです。
同様に、根の治療の不備で歯が痛くなったり歯ぐきが腫れたりしても、同じように患者の歯磨きのせいにしてしまう歯医者が存在します。
そして、再治療で十分に治すことが可能であっても、抜歯してしまうケースもあります。特にインプラントを熱心に勧める歯医者では、歯がなくならなければインプラントはできませんから、保存可能な歯であっても抜歯するケースがあるのです。とりわけ東京都内では歯医者が過密でどこの歯科医院でも売上げ増に必死ですから、このような悪辣な治療に手を染める歯医者が後を絶ちません。
(「歯医者が虫歯を作ってる」)
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