●男性に多い亜鉛欠乏
亜鉛欠乏は、鉄欠乏と同時に起こりやすい。亜鉛と鉄は同じような食材に含まれているからだ。
検査ではわかりにくい亜鉛欠乏だが、いくつか特異的な症状はある。
もっとも典型的なものが味覚障害だ。重度になると何を食べても味がしないという状態になるが、その前段階では濃い味を好むようになる。味覚障害が改善した母親の料理の味つけが、濃いめから薄味になったといった話もよくある。
男性の場合、単身赴任で外食が中心になり、3ヶ月ほど経つとなにを食べても味がしなくなり、うつ症状が出てきたというケースもあるのだ。
亜鉛が欠乏すると免疫が落ちる。風邪にかかりやすくなるのはそのためである。
また、爪に変化があらわれるのも特徴のひとつだ。白い斑点ができるのだが、これは亜鉛欠乏を判定するのにかなり重要なポイントとなるため、わたしは必ずチェックするようにしている。
皮膚のトラブルも、亜鉛欠乏で起こりやすい。肌が荒れてカサカサしやすくなる。アトピーの人には亜鉛欠乏が多く見られるし、また、傷が治りにくく、虫に刺されたりすると、跡がいつまでも残ったり、膿みやすくなったりする。
亜鉛は男性に欠乏しやすい栄養素で、意欲の低下や性欲の低下が起こるのも特徴としてあげられる。
低血糖症との関連も見逃せない。亜鉛には、血糖値を下げるインスリンの分泌を調整する働きがある。亜鉛が欠乏すると、調整がうまくできなくなり、インスリンの出が悪くなったり、出すぎたり、あるいは、出るタイミングが遅れたりするのだ。そのため血糖値の調整に狂いが生じ、低血糖症になるわけだ。
また、血糖値の調整がうまくできないと、食欲のコントロールがつかなくなり、摂食障害に結びつくケースがひじょうに多い。摂食障害に悩む人の半数以上が亜鉛欠乏だったという報告もあるくらいだ。
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