●不眠症にはたんぱく質とビタミンB群
「眠りたくても眠れない……」という感覚を経験したことは、誰しもあるはずだ。たとえば、明日の朝早く起きなければならない、遅刻は絶対厳禁だ、といったとき、眠ろうとするとかえって目が冴えてしまうことがある。大きなストレスを感じたという日は、心が悶々としてなかなか眠りにつけないということもあるだろう。しかし、こうした状態が長期に続くことがないのであれば、安易に睡眠のための”薬”に手を出すべきではないだろう。
心地よい、良質な睡眠を得るためには、もっといい方法がある。栄養療法ではここでもしっかりと、そうした状況にアプローチする方法を提案する。脳内の神経伝達物質に目を向けてみよう。
眠りにつくときは、心がホッとして、穏やかな状態が望ましい。そうした状態をつくるのがGABAやメラトニンという神経伝達物質。気持ちを穏やかにさせるのがGABAで、睡眠を促すのがメラトニンだ。
この神経伝達物質をスムーズに放出させるためには、まずたんぱく質がカギとなる。神経伝達物質がさまざまな合成の過程を経るには、おおもとのたんぱく質(アミノ酸)が不可欠なのだ。この栄養素からさまざまな合成がスタートするからだ。
では具体的にどんな”栄養”をとったらいいのか。私がおすすめしているのは、眠る30分~1時間くらい前に、ホットミルクをゆったりした気分で飲みながら、アーモンドを5~6粒つまむ。たったこれだけのことだが、脳内には眠りに誘う物質がじわりとわき出てきて、自然な眠りに誘われるはずだ。睡眠薬を飲んでいるなら、薬の効きもよくなる。寝つきがよくなり、途中で起きることなく朝までぐっすり眠れるはずだ。
もう少し積極的にトライするなら、ビタミンB群をサプリメントでとるという方法もあるが、それでも眠れない状態が続くようなら、視点を変えてみることだ。日中に働いている交感神経から心と体を休める副交感神経への切り替えを考えてみよう。
副交感神経を優位にさせるためには、夕食のとり方を変えることだ。夕食の内容はご飯にみそ汁とおかず、といったものが一般的な日本の食卓ではあるが、ここから「糖質」を抜くといい。つまり、ご飯(炭水化物)を排除するのだ。
夕食をとってから寝るまでの時間を考えると、眠りにつきたい時間がちょうど、血糖値が下がりはじめる時間に当たる。実は、このとき交感神経が活発に働き、緊張している時間帯で、副交感神経への切り替えが一番難しいのだ。
そこで有効なのが、夕食には糖質(炭水化物)をとらないという方法だ。先ほども述べたように、不安定な血糖は交感神経を緊張させる。
睡眠薬を減らしたい、眠れないという人は、ぜひ一度試してみることをおすすめしたい。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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