●高血圧……「塩分控え目」でも下がらないときは
血圧は血液が流れる際に動脈にかかる圧力で測られる。心臓が収縮したときに血圧は高くなり、心臓が拡張したときに低くなる。この値が最大130~139mmHg、最低が85~89mmHg以下の範囲に収まっていれば正常血圧だと、日本高血圧学会は定義している。つまり、最大が140mmHg以上、あるいは最低が90mmHg以上の値を示したとき、「血圧が高めですから、塩分は控えましょう」といわれるわけだ。
血圧は自律神経やホルモンなどによって調整されていて、常に一定の値を示すわけではない。朝起きたばかりと夕方では違うし、緊張があるときとリラックスしているときでも違う。高血圧症と診断されるには”自覚”症状も加味される。動悸息切れがする、めまいや耳鳴り、頭が重いよいった症状があって血圧が高いというケースで、高血圧症の診断がくだされ、血圧を下げる薬が処方されることになる。
そして、「塩分控え目」の食事内容の改善も併せて指導され、日々の食卓は”薄味”を余儀なくされる。この塩分控えめ対策が功を奏して、血圧が正常値に近づいたという人は確かにいる。味気ない食事でも、結果がでれば、励みにもなるだろう。
ところが、塩分を控えてもなかなか血圧が下がらない人がいて、「こんなに頑張っているのに…」と嘆く人がたくさんいるのも事実なのだ。ここに関与しているのが内臓脂肪だ。
高血圧のほとんどは、本態性高血圧の約50%は内臓脂肪をコントロールすることで血圧が下がることがわかってきた。内臓脂肪を構成する脂肪細胞から出されるサイトカインがその原因だと突き止められたのである。
脂肪細胞からはサイトカインの一種であるTNF-アルファなどのアディポサイトカインと呼ばれる物質が放出され、これが血管を縮める作用をし、圧力を高めて血圧を上げているのだ。とするなら、この経路を断ち切ればいいということになる。
内臓脂肪を減らし、脂肪細胞を小さくする。ここに高い血圧を下げるカギがある。内臓脂肪を減らすには、もちろん、栄養からのアプローチ、つまり食生活の見直しが必要だ。これまでも述べてきたように”油”への見直しにはじまり、知らずに糖質の過剰摂取につながっている弊害を、食卓から排除していくことが必要なのである。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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