お酒に強くなる食べ方がある?

●お酒に強くなる食べ方がある?

 

ずっと以前から語られているお酒に関する”知恵”にこんなものがある。

「お酒を飲む前に牛乳を飲んでおくと、胃に膜が出来て悪酔いしない」

 

いかにももっともらしくもあるのだが、医学的に見たら、なんの根拠も見当たらない迷信、盲信の類である。牛乳が胃壁に膜をつくるなんてことはあり得ない。

(中略)

一方、乳製品をとっておくと、そこに含まれているたんぱく質や脂肪分が胃にたまるため、アルコールはそれらと一緒に小腸にゆっくり流れ、一気に吸収されることはない。つまり、アルコールの血中濃度が一気に上がることはないから、急に酔っ払うということにならないのある。

 

要は胃に何かが入っていることが大事。牛乳に限らず、ヨーグルトでもチーズでも効果は同じだ。ポイントはたんぱく質も油も入っていること。たとえば、豆腐でも冷奴より揚げ出し豆腐などのほうが、酒肴としてはふさわしいといえる。お新香と焼き鳥なら、むろん、焼き鳥だ。「たんぱく質+油」のつまみをおいしく味わいながら、時間をかけてゆっくり飲む。理想的なお酒のたしなみ方とは、そういうものだろう。

(中略)

お酒との関連でこのところ注目されているのがウコン。果たして、その効果は本物なのだろうか。ウコンの有効成分はクルクミンだが、これはターメリックに含まれる黄色の色素だ。ターメリックがカレーやたくわんを黄色くしている成分だということを知っている人は少なくないだろう。

 

クルクミンはポリフェノールの一種だから、炎症を抑えて酸化を防ぐという、ポルフェノールに共通する作用は、当然、クルクミンにもある。また、ウコンのクルクミンには、胃の働きを助ける作用、健胃作用があることが確認されている。これはアルコールを飲むときに一定の効果は発揮してくれそうだ。

 

アルコールを代謝して無毒化するのは肝臓だが、クルクミンはその作業をサポートする働きもする。こうしたことをトータルに考えると、お酒を飲む前にウコンのドリンクやサプリメントを飲んでおくのは、アルコールを体内に入れる態勢をつくるという意味で、「効果あり」といっていいだろう。

(中略)

アルコールは次のようなプロセスで代謝される。体内に入ったアルコールはアセトアルデヒドというものに変わる。これは体にとって毒性を持っている。アセトアルデヒドは次に酢酸に変わり、さらに水と二酸化炭素になって、最終的には呼気や尿の形で体外に排出される。

 

この代謝のプロセスがすみやかにおこなわれ、アセトアルデヒドがちゃんと減少していけば二日酔いは起こらない。ところが、アセトアルデヒドがなかなか酢酸に変わらず、たまってしまう人がいる。二日酔いを引き起こすのがこれだ。

(中略)

アルコールの代謝に関係しているのが脱水素酵素という酵素だ。これが働くために欠かせないのがナイアシンというビタミンB群の仲間。ちなみに、このナイアシンをたっぷり含んでいる食材の代表がカツオだ。

 

ナイアシンは食材から体内に入るだけではなく、体のなかでもつくられている。材料となるのはトリプトファンというアミノ酸だ。トリプトファンは動物性たんぱく質に多く含まれるから、普段から動物性たんぱく質を十分にとっておくことは、二日酔い防止にも結びつくといえる。実際、動物性たんぱく質が豊富な人はナイアシンが減りにくいことがわかっている。

(「薬がいらない体になる食べ方」)

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院長:  今  晋

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