●胃もたれ……食事と一緒にとりたい消化酵素
「なんだか胃が重くて……」
食事をした後にそんな感覚になることがある。いわゆる”胃がもたれる”という症状だが、これには2つのタイプがある。ひとつは、肉や脂っこいものを食べた後に起こるもたれ感だ。このタイプの胃もたれの原因になっているのは、胃の働きが低下していて初期消化がうまくいかず、肉のたんぱく質や油が十分消化されないまま、胃の下の十二指腸や小腸に送られてしまうこと。
未消化のものを処理することになる十二指腸や小腸は負担が増え、それがもたれ感をもたらすのである。それを解消するには胃で消化がしっかりおこなわれればいいわけだから、消化酵素をとるのがいい。市販されている消化酵素系の胃薬(キャベジンなど)やサプリメントを利用しよう。通常の胃薬はこの場合、あまり効果はない。
肉と油そのもののような料理である酢豚にはパイナップルが食材として使われていることが多いが、これは酵素をたくさん含んでいるパイナップルを一緒に食べることで消化を促すという意味あいからだ。
パイナップルの他、パパイヤやキウイなども酵素をたくさん含む食材。「今日は胃がもたれそうなメニューだな」というときには、食前にそれらを食べておくと胃もたれ防止に大いに役立つ。
もうひとつは、食べるものにかかわりなく、たくさん食べると胃がもたれるというタイプだ。食べたものは食道を通って胃に入り、そこで蠕動運動(ぜんどううんどう)によって攪拌(かくはん)される。この蠕動運動がうまくおこなわれないと、食べ物を混ぜ合わせることができず、いつまでも胃にとどまって、それより下の十二指腸に送られないのだ。もたれ感の原因がこれだ。
蠕動運動を司っているのは副交感神経に属する迷走神経だから、これを刺激してやることが必要になる。副交感神経はリラックスしている状態でないと活発に働いてくれない。仕事が忙しくてあわただしくかき込むように食事をしたときなど、胃がパンパンに張っていつまでももたれた感じが残るのは、副交感神経が働いていないためだ。
緊張感をともなうビジネス・ランチやディナーでも、食後に胃がスッキリしないことがあったりするが、これも副交感神経が働かず、蠕動運動が促されないからだ。
ゆっくりとラクな気分で楽しく食事をする。この場合の胃のもたれ解消法はこの一点に尽きる。薬を飲むのはまったく無意味だといえる。
このように、胃もたれには2つのタイプがあることを知っておくと、正しい対応ができるはずだ。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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