●脂を食べすぎても太らない
コレステロールの働きで興味深いのが、総量を自動調節しながらリサイクルもしていること。80%は体内に貯蔵されたもので、20%が食事からとり入れたものが使われています。いったん全身で働いたコレステロールは、役目を終えるとHDLで肝臓に回収され、リフレッシュされて再びLDLで全身に送りだされます。
こうして人体はコレステロールの総量を管理・調節し、常に古いものと新しいものの入れ替えも行っています。「悪玉」と名づけられたLDLコレステロールは、実はリフレッシュされたばかりの新鮮なもの。ぜひとも良質の脂質を毎日十分摂取し、コレステロールの新鮮さを保ちたいものです。
コレステロールを食べると太る、などという心配はありません。生活習慣病にもなりません。食べすぎた脂質は人体に吸収されず、最終的には水分と二酸化炭素として排泄されてしまうので、多くは下痢をしておしまいです。つまり、肉や脂を食べないことがヘルシーなのではなく、毎日十分に食べることこそが、あなたの体を健康にする秘訣です。
100年前のロシアで行われた間違った実験は、こうして現代日本にも深い影を落としています。しかし、コレステロールは悪者ではなく、動脈硬化の原因でもありません。
さらにいえば、コレステロールはドロドロした物質ではありません。語尾が同じことから連想できると思いますが、実はアルコールの仲間。「ドロドロして怪しい物質」とのイメージは、真実からまったくかけ離れた誤解なのです。
とはいえ最近の研究で、LDLコレステロールの中に「超悪玉」と疑われるものの存在があることがわかってきました。それが「レムナントコレステロール(RLP)」と「スモールデンスLDLコレステロール(sdLDL)」です。
(中略)
ただし、RLPもsdLDLも発見されて間もなく、その生成には中性脂肪が関係しているらしいとの仮説があるのみで、確かなことはわかっていません。現時点では、検査もほとんど実施されていません。今いえるのは、「LDLコレステロールの中には変性タイプが存在し、それが本当の悪玉なのかもしれないという考え方が出てきた」ということだけ。すでに各国で研究が進んでいるはずなので、しかるべき結果を待ちたいと思います。
(日本人だからこそ「ご飯」を食べるな)
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