●アメリカの和食ブームの落とし穴
失敗要因のひとつは、70~80年代という時期にありました。当時、世界には目立った勢いで平均寿命を延ばしている国があったため、NCEP(National Cholesterol Education Program 食品啓蒙プロジェクト)にかかわった研究者たちは、その国の食事を真似ればいいだろうと考えたのです。-日本です。
ある程度の年齢の方なら覚えていると思いますが、20年以上前のアメリカでスシバーの大ブームが起きました。日本人起業家が現地で成功を収めたとのニュースが聞こえてきたり、アボカドを使った「カリフォルニアロール」が逆輸入されたりしたのが、ちょうどその頃。これらは、まさにNCEPに関連したムーブメントでした。
そうして脂質の摂取を減らしたアメリカ人たちは、食物性食品が中心だからヘルシーとのイメージとともに、和食を好んで食べました。そのためか、71年に42.2%だった糖質摂取率は、00年には49.0%まで上がっています(数値は男性)
このプロセスは、まさに久山町研究と瓜ふたつです。久山町研究も、当初は心筋梗塞や脳卒中を研究することが第一目的でした。そして60:20:20のPFCバランスを推進し、食物性食品の摂取を奨励したおかげで、町民の肥満と糖尿病を増やしてしまいました。
NCEPと久山町研究に共通しているのは、「肉や脂を食べると動脈硬化になる」という概念。今でも、メディアの健康番組や健康記事に金科玉条のごとく登場します。そして、そのときに必ず槍玉にあがるのがコレステロールです。
ところが、コレステロールは悪玉どころか人体には不可欠な大切な物質。すでにアメリカではNCEP失敗の教訓を受け、動物性食品の再認識が着々と進んでいるそうです。
(日本人だからこそ「ご飯」を食べるな)
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