生活習慣病とメタボリックシンドロームは意味が違う。
●絶対避けたいメタボリックドミノ
生活習慣病というのはこれ自体は病名ではなく、食事・飲酒・喫煙・睡眠不足・ストレスなどが引き金となって、体が異常をきたす疾患の総称。以前は成人病という呼び方でしたが、小児でも発症するケースがあるなどの理由から、現在の名前に変更されました。代表といえる疾患は何といっても糖尿病で、がんも生活習慣病のひとつに数えられます。
よく混同されますが、最近よく聞くメタボリックシンドロームは「代謝症候群」。生活習慣病とは別のものなので、ちょっと説明しておきましょう。
代謝とは、体外からとり入れた物質や、体内で産生・合成した物質などを使って、エネルギーを出し入れする機能のこと。一方のシンドロームは「症候群」で、ある原因から起こりうる一連の症状といった意味です。つまりメタボリックシンドロームとは、「代謝のバランスが狂うことによる病気の群」です。
メタボリックシンドローム=おデブさんというイメージがありますが、それは正しくありません。おデブさんのイメージが定着したのは、08年から導入された「特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)」が一因。この健診がまさにメタボリックシンドロームの早期発見を目的にした部分があるので、少々混乱してしまったのです。
特定健診におけるメタボの定義は、「内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧・高血糖・脂質異常症のうちふたつ以上を合併した状態」。男性で腹囲85センチ以上、女性で腹囲90センチ以上という目安があります。ここでのポイントは、皮下脂肪型肥満の人は該当しないということ。簡単にいえば、体の中で悪さをするのは内蔵脂肪だけだからです。
内臓脂肪はさまざまなサイトカイン(ホルモンに似た物質)を分泌し、インスリンの働きを低下させたり高血圧に導いたりします。高血圧や高血糖は複雑に関係し合っており、ひとつが悪くなるともうひとつが悪くなり…と、相互に影響を与えます。こうして、肥満を起点に体のあちこちが次々と悪化していくことを、「メタボリックドミノ」と呼びますが、これだけは絶対に避けなければなりません。
(「日本人だからこそ「ご飯」を食べるな」)
コメントをお書きください