なんで栄養が失われるかわかれば、買う気は起こらない。
●加工食品の栄養が失われる理由
なぜ加工食品の栄養が失われているのでしょうか。理由はいくつかあります。
①純水の使用
「純水」とは不純物を一切含まない、純度の高い水(H₂O)のことです。
日本の水は軟水のため、濃度は高くありませんが、水道水にもカルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。
一方、純水で調理をすると、水に溶けているミネラルがないために、食品中の水溶性の栄養素がどんどん溶け出していきます。そして多くの場合、煮汁は捨てられてしまいます。
食品加工に純水が使われる理由は、不純物の混入や食中毒を避けるためです。しかし、ビタミンやミネラルの面から見ると大変な損失です。
②精製油
加工食品には油が使われることも多いですが、この油も食品中のビタミン、ミネラルを低下させる原因となります。
食品に使われる油の多くは、ヤシ、菜種、トウモロコシ、ごまなど植物の種を搾って作られます。これらはもともとミネラルをかなり含んでいますが、ミネラルが残っていると変色が早く、頻繁に油を換えなくてはなりません。このため精製して不純物(ミネラル分)をそぎ落とし、前項の純水と同じように純度の高い油を使うのです。
そのような精製油で加工をすると、これも純水と同じように、食品に含まれている油に溶けやすいビタミンやミネラルがどんどん溶け出していってしまいます。言葉は悪いですが、これでは「出がらし」を食べているようなもので、カロリーだけを摂ってしまうという非常にもったいない状況になっています。
③リン酸化合物の添加
リン酸塩は加工食品に非常に多く使われる食品添加物です。ウインナーソーセージ、ハム、かまぼこなどの練り物、缶詰、カップ麺など非常に広範囲に使用されています。メタリン酸塩(Na)、ポリリン酸塩(Na)、ピロリン酸塩(Na)など種類もさまざまです。
またパッケージの原材料表示に「PH調整剤」と書かれていることがありますが、この正体もリン酸(の化合物)であることが多いのです。
食品は酸性にしておく方が雑菌の繁殖が抑えられるため、リン酸化合物をはじめとするPH調整剤が食品の日持ちをよくするための食品添加物として広く使われるのです。
こうしたリン酸化合物の問題点は、カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルの吸収を阻害してしまうことにあります。子どもが好きなお菓子やデザートにもよく含まれているので注意してください。
④その他
このほかにも加工食品の栄養素が失われる理由はいろいろあります。
高温での加熱、野菜の下処理(次亜塩素酸ナトリウムで洗う)、鮮度の問題などです。加工食品が家庭料理と決定的に違うのは「作ってすぐ食べるか、食べないか」ということです。つまり、加工食品は作ってから数時間~数カ月まで日持ちをさせなければいけません。そのために高温処理をしたり、食品添加物が使われるわけです。
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