総務省が発表している「家計調査」を見ると、21世紀になるとともに、日本の家庭は生鮮食品よりも、加工食品や外食に多くのお金を払うようになっていることが読み取れます。農林水産省の推計でも、私たちの口に入る農作物の8割(金額換算)が、加工・調理されたものになっているそうです。
つまり、ビタミン、ミネラルの足りない「新型栄養失調」が起こる原因は「加工食品」が日常的に私たちの食事に入り込んできたことにあります。
一人暮らしの若い人はもちろん、子どものいる家庭でもコンビニ弁当、惣菜など加工食品はもはや当たり前のように利用されています。今の時代、働くお母さんも多く、家庭において食事の用意をする時間はどんどん短くなってきています。
レトルトやインスタント食品は大変な種類が発売されていますし、「中食」といわれる惣菜や持ち帰り弁当もあちこちにあります。こういうものを利用すれば、ほとんど自宅で調理をしなくても食事の用意ができてしまいます。
しかし、こうした加工食品には「ビタミンやミネラルの欠落」という大きな欠点が潜んでいるのです。
彩りよく、いかにもおいしそうな惣菜のサラダ。しかしそれはおそらく家庭で新鮮な野菜を使って作るサラダとは栄養価がまったく違うでしょう。
「食事でかかる新型栄養失調」には、有名コンビニエンスストアで、一日の食事を済ませた場合に、どのくらいのミネラルが摂取できるかを実測した情報が掲載されています。
それによると、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅の5つの必須ミネラルのすべての摂取量が、20代女性の推定平均必要量にまったく達していないとのこと。
すでに解説したように、「推定平均必要量」はその量を摂取しても、半分の人が欠乏症になってしまう量ですから、状況はきわめて深刻です。
朝は菓子パン、昼はファストフード、夜はコンビニ弁当。こうした食事を一人暮らしの若い人はごく普通にしているのではないでしょうか。
こんな食事を続ければ、最後には命にかかわるほど、大きな問題が生じる気がしてなりません。栄養不足とはそれほど恐ろしいものです。
(「サプリメントの正体」)
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